「ドラマ甲子園」大賞作品は、高校2年生の平野水乙(ひらの・みお)さんの『言の葉』に決定!!
年に一度、全国の高校生に広く呼びかけ、1時間のドラマ脚本を募集。対象に選ばれた脚本は、書いた本人が演出!プロのスタッフがサポートし、プロの俳優が出演するテレビドラマとして放送される「ドラマ甲子園」。
第7回となる今回は、昨年10月から今年の6月初旬まで募集期間を延期。厳正なる審査の結果、大賞作品に、人付き合いが下手で友達ができない女子高生と、言葉が話せない少女との心温まる友情物語を描いた、横浜市在住の高校2年生、平野水乙(ひらの・みお)さんの『言の葉』という作品が選ばれた。

平野さんは、現在16歳で、ドラマ甲子園史上最年少の大賞受賞者となる。また、佳作に選ばれたのは、大阪市在住の青葉美樹さん(19歳)の『アパシー記』。
大賞に選ばれた作品は、執筆者本人の演出で制作。これまではCS放送フジテレビTWO ドラマ・アニメにて放送をメインとしていたが、今年からはFODにて配信し、CSでも放送する。
<大賞受賞者 平野水乙(ひらの・みお)さん コメント>

最終選考の電話をいただいてから緊張しっぱなしで、不安だったんですけど、両親や学校の方々の協力のおかげで大賞を取ることができ、今は幸せな気持ちで一杯です。小さい頃からずっと物語を書いてまわりに読んでもらったりしていたんですが、あまり評価されていない気がして、「小さいころからずっと書いているのに私はセンスないのかなあ」と思っていました。
でも今回ネットで「ドラマ甲子園」の募集を見つけて出させてもらって、まさか大賞までもらえるとは思っていなかったのでとてもうれしいです。この作品は言葉を伝える大切さを表している作品で、“言葉”を漢字で書くと言うに葉と書くので、葉っぱを使って言葉を伝えたら面白いんじゃないかと思って書きました。このドラマ制作では、自分の意見をしっかり言うということを常に目標として頑張っていきたいと思います。
<ストーリー>
香里は昔から不意に相手を傷つける言葉を言ってしまう癖があり、これが原因でいじめられるようになってしまう。ある日、香里は教室を抜け出し、丘ノ上公園にあるベンチに座った。
「自分の気持ちを素直に伝えられるようにしてください」と神様に願うと、ベンチの真上にある桜の木から一枚の葉が落ちてきた。葉には『君の名前は?』という文字が書かれている。その文字を書いたのは、話すことができない咲という女の子だった。
香里と咲は毎日会うようになり、次第に仲良くなる。そして香里は、咲に友達ができない悩みを相談した。咲は友達を作る方法を香里に教え、その方法で香里は悩みを克服し友達ができると、咲とは会わなくなっていった。そして、久しぶりに咲に会った香里は、あの嫌な癖で咲を傷つけてしまう。しかし、その後知る咲の本当の正体に香里は…。
<プロデューサー・鹿内植による総評>
2020年はコロナ禍により今まで当たり前の様に過ごしていた日常が一変。自粛により家にいる時間も増え、人々がそれぞれ考える時間、自分自身と向き合う時間が多く持たれています。
この時期での脚本募集でしたので、現役高校生たちが今、何を感じて、どんな作品を送ってきてくださるのかとても個人的に興味がありました。全体的には不安や人の命をテーマにしたものが多く見受けられましたが、そんな中でも、この様な時代だからこそ、前向きに物事を捉え希望を見出している作品にキラリと光る魅力を感じました。
ドラマ甲子園の現場は大賞が選ばれてからがその受賞者の本当にやりたいことが発揮される場所です。
毎年、撮影自体は1週間程度なのですが、それに向けてのスタンバイ作業、また撮影後の編集作業を通しての約1ヵ月半程の間で、自分が書いた作品でみんなに何を伝えたいのか、また自分は何を考えて脚本を書いたのか、改めて向き合うことになります。そして、多くの年齢の離れたスタッフにそのことをしっかりと伝える作業があります。
この過程を経て毎夏高校生はひとまわりもふたまわりも自信を付けて、大きな存在感を放ちます。今年もまた新たな監督が誕生することが本当に楽しみです。
そして、1時間のドラマを脚本としてアウトプットするのは容易なことではありません。 今回、応募してきてくださった全ての方々に感謝いたします。
<選考理由>
『言の葉』という作品は16歳という大人でもなく、周りが思っているほど子供でもない、とても多感な感受性が強い時期に平野さんが人とのコミュニケーションをリアルな感情とファンタジーを上手く織り交ぜながら表現した作品です。
「ありがとう」という言葉も心で思っていても相手に伝わらない。思っていても気持ちとは裏腹な態度を取ってしまう。
そんな、この世代だからこその不器用だけど可愛らしくも純粋な人との関わり合いが丁寧に描かれています。
また、初めて脚本を書いたとのことでしたが、しっかりとした構成と生き生きとしたセリフは高校生とは思えない執筆力です。
平野さんは特にSNSをフル活用したコミュニュケーションが主流の世代。そんな彼女が、あえて口で言葉にしたり、手書きの言葉にこだわったところがとても素敵な作品でした。
今を生きる16歳の監督が、直接伝える「言葉」の大切さをどう表現するか、映像として見たいと強く感じました。