中山優馬「僕の見せ場はないです」と断言!?舞台「ゲルニカ」初日前会見でキャストが語る思い
舞台「ゲルニカ」【東京公演】9月4日(金)~27日(日)/PARCO劇場 10月より京都、新潟、豊橋、北九州にて公演予定
舞台「ゲルニカ」の公開フォトコールと初日前会見が9月3日(木)に行われ、会見には主演の上白石萌歌と、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、キムラ緑子が登壇した。
スペイン内戦時のゲルニカ無差別爆撃を描いた、パブロ・ピカソの絵画「ゲルニカ」に出会った演出家・栗山民也が、以来20年以上あたためてきた構想をもとに、劇作家・長田育恵が脚本を担当し、舞台化された本作。

ゲルニカの元領主の娘として、何不自由なく生きてきたサラを上白石が演じる。旧体制派と新体制派が激突し、ドイツやソビエトなどの軍隊が加わって本格化するスペイン内戦。
婚礼直前に婚約者が戦いに出ていき、残されたサラは街の食堂に出入りするように。そこで町の人々や兵士たち、海外特派員と触れ合うことで、各地で激戦が行われていることを知る。
さらに、中山演じるイグナシオという兵士と出会い、いつしか恋に落ちるサラだが、彼の実情はドイツ軍のスパイで、ゲルニカを爆撃するための工作を密かに進めていた。人々の思いが交錯する中、戦いは激しさを増し、空爆がゲルニカの街を襲う。

会見が始まるとまず、初日を迎えるにあたっての心境を聞かれ、「こんな状況下で、明日、幕があがるということ。いつも以上に特別な感情を抱いています」(上白石)、「世の中が大変な中、稽古に打ち込んできましたので、やる気に満ちております」(中山)、「コロナの影響で中止になってしまった作品がある中、この舞台の幕が上がるということはとてもうれしいことです」(勝地)、「いよいよ明日から舞台に立つということで、身の引き締まる思いです」(早霧)、「劇場に足を運んでくださるお客様がいることが、改めて、本当にありがたいことだなと感じます」(キムラ)と、コロナ禍での舞台上演に対する特別な感情をそれぞれに口にする。

そして、以前から憧れていたという栗山民也演出作品に、今回初めて出演が叶った上白石は、「ご一緒することが長年の夢で、大学のレポートの題材を栗山さんにしたことがあるくらい、尊敬の念や憧れを抱いていた方です。いつか、と願いながら、でもそれはもう少し先だろうなと思っていた中で、こうしてご一緒できたことをうれしく思います」と、素直な思いを語った。
さらに、「栗山さんは、思っていた以上に柔らかい方で、稽古中に、食べていたおせんべいを半分くださったり」とエピソードを語って笑いを誘うと、続けて「すごく柔らかいお人柄の中に鋭い視点があって、どうしたら良くなるかを端的に伝えてくださる方です。まだまだ至らないところがたくさんありますが、稽古初日から、栗山さんの言葉だけを信じてしがみついていけば、きっと大丈夫だろうなと思ってやってきました」と、真剣な眼差し。

中山は、自身の役柄を「すごく人間味あふれる青年」だと話す。「稽古をしていく中で感じたのは、“若さ”が大事だということ。若さの中にすごくパワーが秘められている」と分析し、サラとの関係性や、心の動きが描かれるシーンでは、“若さ”を表現することに意識を向けているという。
中山が演じるのは、1人のシーンが多いことに加え、一瞬の出来事が、台本では3ページほどをかけて描かれていることもあり、「自分の中での戦い」と、気合を見せたかと思いきや、「僕の見せ場はないです」と断言。直後に、「ない、というか、全部です」と訂正して笑顔を見せた。

「『ゲルニカ』という絵に対してすら、全然知識がない中で、この作品をやらせてもらうことになりました」と明かした勝地は、「ただ、台本を読んでいく中で気づいたのは、戦時中であっても日常があるということです。これは、そういう日常が突然パツっと切られてしまう物語なので、作品の背景を知らなくても伝わるものがあると思います」と、作品の魅力をアピール。

女性海外特派員・レイチェルを演じる早霧。劇中でバディを組むクリフ(勝地)とのコンビネーションが見どころの一つであるが、それについて「強い正義感を持ったレイチェルの、どこか堅い人間性を、クリフは初対面から見抜いていて。お互いに記者だからこそ、正直な言葉でぶつかり合うんですが、それは、2人の間に信頼があるからこそだと思う」と、語る。


さらに「稽古場から、(勝地)涼くんとは、コミュニケーションを重ねて、クリフとレイチェル以上の信頼関係を…」と続けたところで言い澱み、勝地の様子をチラッと確認。頷く勝地に安心した様子で、「…築けていると思うんですけど(笑)、明日からの本番を通して、さらに絆を深めていきたい」とコメントした。

リニューアルされたPARCO劇場での公演が初めてだというキムラは、「自分の楽屋の窓から、渋谷の街を見下ろせるんです。すごいところでお芝居しているなと思って。“渋谷の中心で愛を叫ぶ”じゃないですけど」と、早口の関西弁で興奮をあらわに。
そして、「舞台はスペインだし、1930年代だし、戦争中だし、カトリック教会の元領主の妻だし…って、想像することが多すぎて!」と、苦労を吐露する場面も。「でも、いけるところまでいって、あとは観に来てくれたお客さんの想像力に委ねて…。この作品が、世界の中の日本、今の自分、というものを考えるきっかけになってくれたらいいなと思う」と、作品への思いを熱く語った。

舞台は9月4日(金)の東京公演初日を皮切りに、京都、新潟、豊橋、北九州にて、合計約2ヵ月に渡り上演される。詳細は公式サイトで確認を。