多部未華子 難役に苦戦も「人間100あったら、100全部がわかるものではない」
映画「空に住む」10月23日(金)全国公開
10月23日(金)より公開の映画「空に住む」の完成披露舞台挨拶が、10月4日に都内の映画館で行われ、多部未華子、岸井ゆきの、美村里江、岩田剛典、鶴見辰吾、永瀬正敏、岩下尚史、髙橋洋、青山真治監督が登壇した。

本作は突然両親を亡くした小さな出版社に勤める直実(多部)が、叔父夫婦の計らいで引っ越したタワーマンションで出会ったスター俳優・時戸森則(岩田)との逢瀬に溺れながら、仕事、人生、そして愛の狭間で揺れる姿を描く物語。「EUREKA ユリイカ」などで世界的に知られる青山監督の7年ぶりの長編映画となる。

スクリーンの前に9人がずらっと横一列に並ぶ形で座った登壇者たちは、それぞれ自分が演じた役柄や、共演シーンが多かったキャラクターの印象などをコメント。

多部は直実を「一言で説明できない性格の持ち主」と説明。それだけに演じるのは難しかったとも言い「(直実のセリフに対して)何言ってるかな?っていうこともいっぱいあった(笑)」と振り返り、試行錯誤を繰り返す中で、現場でつかんでいったと明かした。


そんな直実が恋に落ちる岩田が演じる時戸について多部は「この映画に出てくるキャラクターの中で一番ファンタジー」との印象を。演じた岩田自身も脚本を読んだ時点で「すごく変な人だと思った」と告白。「セリフも独特の言い回しで、かなり自分のワールドを持っている人」だったため、演じるのには悩むところも多かったという。ただスター俳優の時戸が持つ2面性については「少なからず自分もこの世界にいて、現実と表の世界とのギャップで共感できるとこは見つけられたので、あとは現場の雰囲気にまかせて演じきった」と役との向き合い方を伝えた。


また直実の会社の後輩で訳ありの妊婦・愛子を演じた岸井は、多部と共演した古民家にあるという設定の出版社でのシーンの思い出を。「撮影と休憩時間の素の部分にあんまり差がなくて、全部映画みたいでした」と振り返ると、多部も「(その感覚が)本当によくわかる」と同意。お互いに役柄と本人との差があまり感じられなかったと話した。

直実の叔母・明日子を演じた美村は、「明日子さんは親戚にいたらちょっと苦手なタイプ」と苦笑い。自分とは距離のある人物であったが、それだけに明日子について考える時間が長くなり、「考えたことで理解が深まったキャラクター」とも。「逆に良かったかも」と笑顔を見せた。


多部は出演者たちがそれぞれの自分の役柄を演じるのに苦戦していたエピソードを聞くと「みんな各々わからないなりにやっていたんだな、というのがわかってちょっと安心した(笑)」と安堵。そのうえで「人間って100あったら、100全部がわかるというものではないと思っているので、そういう(皆が役柄の理解に悩む)現場でも大丈夫だった、と言っていただける監督とご一緒できて良かったなと思います」と改めて語った。
イベントの最後に多部は「本当にこの映画は捉え方がさまざまだと思いますし、どう感じるか、男女でも違うと思いますし、いろんな見方があるので、それぞれ思い思いに見てもらえたらと思います」とメッセージを。

キャスト陣から「わからなかった」というコメントを多く受けた青山監督は「今日わかったことは、どんなに話をしても、この映画はどんな映画かよくわからないだろう、ということでした」と言いつつ、「でも僕はそれでいいと思っています。最後に僕から一言、言いたいのは、この映画の発するメッセージは、人生は冒険だ、ということです。ますますわからなくなるかもしれませんが、それで結構でございます(笑)。楽しみにしてください」と笑顔で結んだ。
<ストーリー>
郊外の小さな出版社に勤める28歳の直実(多部未華子)は、両親の急死という出来事を受け止めきれないまま、大都会を見下ろすタワーマンションの高層階で暮らし始めることになる。まるで“空”に住んでいるかのような感覚をもたらすその空間で寄り添っているのは長年の相棒、黒猫のハルだけ。
そんな彼女の前に突如として現れたのは、日本を代表するスター俳優、時戸森則(岩田剛典)。夢のような展開に戸惑いながらも、彼を部屋に招き入れる直実。時戸との出会いによって生活が変わり始めるが、それでも埋めようのない喪失感を心に抱えていた。
どこか満たされないまま日々を過ごしているのは直実だけではなかった。出版社の後輩で妊婦の愛子(岸井ゆきの)は誰にも打ち明けられない秘密を抱えていた。何不自由なく暮らしている専業主婦の叔母・明日子(美村里江)もまた、人知れず虚しさを感じていた。
©2020 HIGH BROW CINEMA
最新情報は、映画「空に住む」公式サイトまで。
- 今市隆二と登坂広臣が名曲への思いを明かす「心に残る作品になることを願っています」
- 多部未華子 青山真治監督作に主演「言葉にできないとても独特な世界観」
- 人気小説「空に住む」映画化決定!青山真治監督が“三代目”の名曲の世界観描く