伊藤健太郎の主役起用を熱望していた黒木瞳監督 きっかけは「ラジオ局のポスター」
11月6日(金)公開「十二単衣を着た悪魔」
黒木瞳監督がメガホンをとり、伊藤健太郎が主演を務める映画「十二単衣を着た悪魔」の完成報告会が10月20日(火)に都内で行われ、伊藤と三吉彩花、伊藤沙莉、山村紅葉、笹野高史、LiLiCo、黒木監督が登壇した。

脚本家・小説家の内館牧子が「源氏物語」を題材に、奔放で強い女性によって成長していく青年の姿を描いた長編小説「十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞」を実写化した本作。
就職試験59連敗中の実家暮らしのフリーター・伊藤雷(いとうらい/伊藤健太郎)が、ひょんなことから「源氏物語」の世界にトリップし、そこで出会った弘徽殿女御(こきでんのにょうご/三吉)に仕え、彼女に翻弄されながらも次第に触発され、成長していく姿を描いている。
監督自身が原作に惚れ込み、実写化に至ったという本作だが、監督は「弘徽殿女御という強くて怖いと思われがちな女性と出会って、いわゆる“ダメンズ”が成長していく、“希望のお話”というところに惹かれました」 と、そのきっかけを明かした。

そんな“ダメンズ”を演じた伊藤健太郎は、「雷と同じく自分も、今もし平安時代に行ったら、驚きはするけど、対応できると思う」と、役との共通点を語る。
また「女優として見ていた黒木さんが、今回は監督として、どのように演出してくださるのかなと思ってたんですが、役者の目線に立って指示してくださるので、ありがたかったです」と監督への感謝を述べると、黒木監督も嬉しそうに微笑んだ。

主役については、制作が決まった当初から、黒木監督が伊藤健太郎の起用を熱望していたというが、その発端は、黒木監督が出演しているラジオ局に貼ってあったポスターだという。
「エレベーターが開くと、ポスターに写った健太郎さんがいらっしゃって。いつもそこを通るたびに健太郎さんに見つめられながら、雷ちゃんを健太郎さんが演じてくれたらいいなぁと思っていたんです」とエピソードを語ると、健太郎は「見つめていてよかった」と笑顔を見せた。

「源氏物語」の中では悪役のように描かれている女性・弘徽殿女御だが、本作は彼女の人となりを再解釈し、それを軸に物語が描かれている。演じた三吉は、「すごく芯のある強い女性で、台本を読んでいて、自分もこの人についていきたいなと感じた。黒木監督から彼女の話を聞いていくうちに、どんどん愛着が湧いていきました」と、自身の役どころに抱く思いを明かした。

難しい役を務めるにあたり、黒木監督から個別で指導を受けたという三吉。「発声から何から、みっちり教えていただいて…」と苦笑いで振り返ると、「嫌われるんじゃないかと思うくらい厳しくしてしまって…(笑)」と黒木監督。
「私の持っている全てを教えたかった。厳しくしましたが、それに食らいついてくる女優魂を感じました。どんどん殻を破って、ご自分の“弘徽殿女御”を作っていかれたのが見事で、その時は同業者として、感動していました」と、続け、さらに「あの髪型と十二単衣があんなに似合うのは、三吉ちゃん以外いないと思います!」と称賛した。
