「『白い巨塔』は絶対にコケられない…」ポスター担当広報マンが明かす木10ドラマの思い出
2020年10月17日~2021年3月末「フジテレビ平成木10ドラマ大ポスター展」
フジテレビでは、平成時代に放送された木10ドラマ全119作品のポスタービジュアルを一挙に展示する「フジテレビ平成木10ドラマ 大ポスター展」を、本社5階にある「フジテレビギャラリー」にて2021年3月末まで開催中だ。
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そこで、フジテレビュー‼は、ドラマのビジュアル制作を長年にわたって手がけている、広報局広報宣伝室の鈴木文太郎ゼネラルプロデューサーを直撃。制作秘話や思い出に残っている木10作品について聞いた。
――まずは木10枠についての思いを聞かせてください。
月9というのは、会社としても絶対に世帯視聴率を20%は取らなきゃいけないというプレッシャーのある枠だったと思うのですが、木10はチャレンジングで実験的な番組も多かったので、宣伝もわりと自由にやらせてもらえることが多かったです。今ではこういうポスターの企画は通らないんじゃないかっていうようなものもありますね。例えば『今夜、宇宙の片隅で』(1998年・三谷幸喜の初のラブストーリー作品。主な登場人物は西村雅彦、飯島直子、石橋貴明)や『薔薇の十字架』(2002年・三上博史、石田ゆり子、天海祐希らが出演。“大人がハマれる”恋愛ドラマ)など、非常にアグレッシブで実験的で驚きます。
山崎豊子先生に「いいポスターだ」と褒めていただいた
――最も思い出に残っている作品は何ですか?
広報に異動後、最初に見習いとして参加させていただいた『白い巨塔』(2003年)ですね。絶対的に強い原作があり、開局45周年記念で2クールの放送、絶対にコケられないという社運を背負ったプレッシャーの中、先輩たちと作っていったものなので思い入れがあります。小細工はせず、メインキャストの写真を肖像のように撮り、中央には白い巨塔をイメージした「廃墟の中の天使」を配置しました。原作者の山崎豊子先生からも「いいポスターだ」と褒めていただいたと聞いています。
他には草彅剛さん主演で2013年に放送された『独身貴族』です。貴族ということで、草彅さん、伊藤英明さん、北川景子さんの写真を撮って、イラストレーターに古い絵画風に描き起こしてもらいました。手間はかかりましたけど、面白いものに仕上がったと思います。
「織田裕二さんにポスター撮影用に“台本”を渡し…」完成した笑顔
同じく2013年の『Oh,My Dad‼』は、織田裕二さんと男の子が戯れているほのぼのとしたポスターなんですが、プロデューサーが「この写真を撮るためには自然に撮らなきゃダメだ」と。実は、私がポスター撮影用の台本を用意して、その場で演じながら関係を作ってもらい、ようやく到達した親子の笑顔なんです。実際はほぼアドリブになって、用意したセリフはほとんど言ってもらえませんでしたがね(笑)。ポスターを撮る段階って、役者さんの関係がまだできていない状態なので、そこをどうやって役に入り込んでもらうかというのが毎回の課題です。
――現在、放送されている深田恭子さん主演の『ルパンの娘』のポスター制作にまつわるエピソードを聞かせてください。
最近のポスターはバラバラに撮って、後で合成するというパターンが多いんですけど、これは家族写真なので一堂に集まっていただいて撮りました。パート2なのでみなさんのチームワークも良く、楽しい雰囲気で撮ることができました。
深田さんが赤ちゃんを抱っこしていることが話題になっていますが、「えっ、子どもが生まれるの?」という驚きから話題を集めようという作戦で、このような構図になりました。
――多くの名作が生まれた平成が終わり、新時代へと突入しましたが、どんなところに時代の変化を感じていますか?
平成の初めの頃はオーソドックスなラブストーリーやサクセスストーリーが多かったのですが、時代が変わるにつれてジャンルもどんどん細分化した結果、先祖返りじゃないですが、刑事ものや医療ものが増えましたよね。
ポスターも合成の技術やアートのトレンドに従って発想は変わってきていますが、出演者をきれいに撮って、魅力的に見せていくという根本的な部分に変化はありません。
■開催場所:フジテレビ本社屋内「フジテレビギャラリー」
■開催日:2020年10月17日(土)~2021年3月末終了予定
■営業時間:11時00分~17時00分「フジテレビギャラリー」
(最終入場は16時30分)*月曜日休館(月曜日が祝日の場合は翌日が休館)
■入場料金:無料