実効支配、食料、デジタル&ブランド戦略…世界の覇権を目指す中国の野望を池上彰が徹底解説!
3月12日(金)20時~『池上彰スペシャル!なぜ?コロナ禍で独り勝ち!世界の覇権を目指す中国の野望』
3月12日(金)20時より、フジテレビでは『池上彰スペシャル!なぜ?コロナ禍で独り勝ち!世界の覇権を目指す中国の野望』が放送される。
池上彰が日本や世界の重要なニュースをわかりやすくスタジオ解説するシリーズ。今回のテーマは「世界の覇権を目指す中国の野望」。
新型コロナウイルス確認から1年、強硬な海洋進出や食料外交、デジタル経済の急速な普及など、いま中国の動きが活発化している。「建国100周年を迎える2049年までに、わが国を“社会主義現代化強国”にする」――習近平国家主席が描くシナリオの下、着々と動きを強めている中国の野望を、池上が徹底解説する。

新型コロナの震源地・武漢から見る中国の今
世界中が新型コロナの大打撃を受けた2020年、主要先進諸国の中で唯一、GDP(国内総生産)の伸び率がプラス成長を遂げた中国。その“独り勝ち”の理由は、新型コロナのクラスターが初めて確認された都市・武漢にあった。
番組では、ウイルスの抑え込みに成功したことをいち早く宣言して活気づく現在の武漢の街を取材。そこから見えてきた“中国復活のカギ”とは。
野望① 世界の覇権を目指す中国 実効支配で海を制す!?
2010年の中国漁船衝突事件以来、日々絶えることなく続く、中国船による尖閣諸島への接近。今や、漁船に代わって「中国海警局」の公船が尖閣諸島に近づき、怪しい動きを繰り返しているという。尖閣諸島をめぐる中国の行動とその思惑を、池上が解説する。
この中国の新たなる脅威に、日本はどのように対応しているのか。尖閣諸島周辺で日本の漁船に圧力をかける中国海警局の大型船と、その行動を阻むために出動した海上保安庁の巡視船が繰り広げる、緊迫の映像を公開する。
さらに池上は、南シナ海をはじめ、中国が実効支配を進める他の海域についても詳解。中国海軍が打ち出している「制海権構想」から、中国の今後の動きも予想する。
野望② 世界の覇権を目指す中国 切り札は食料!?
2020年春、モリソン首相が新型コロナの起源を追跡する独自調査を求めたことを機に、中国はオーストラリアと対立。オーストラリア産の食料品に関税をかけるなどして輸入を制限した。「食料」を外交カードに使い、他国に対し強硬な姿勢を取り続ける中国の動きを考察する。
また、中国全土で行われている食べ物の節約キャンペーン「光盤行動」による人々の生活の変化や、国内食料確保のため中国から日本海へやって来る違法漁船の実態などを取材。意外な中国食料事情に迫る。
野望③ 世界経済を席巻 中国のデジタル戦略・ブランド戦略
世界経済で独り勝ち状態の中国。その大きなけん引力となっているのが、電子決済、ネット通販などの「デジタル分野の強化」と、PCや家電製品の「ブランド力の強化」だ。
番組では、この中国2大戦略の最新事情を、現地取材も交えて解説する。まず取り上げるのは、中国の最もホットなビジネスモデルとして世界からも注目を集める「ライブコマース」。ライブ配信とネット通販を掛け合わせたその仕組みやヒットの要因を解説するほか、ライブコマースを行う店舗がひしめき合う浙江省北下朱村、通称“ライブ配信第一村”を取材し、そのケタ外れの繁盛ぶりを紹介する。
また、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電の世界シェア1位を誇る中国企業「ハイアール」について解説。これまで“粗悪品”のイメージが強かった中国ブランドが、いかにして世界レベルにまで上り詰めたのか、その軌跡をたどる。
中国の果てしない野望に、ゲストの梅沢富美男も怒りをあらわに…
スタジオゲストには、足立梨花、梅沢富美男、ヒロミ、山内健司(かまいたち)が登場。梅沢は、どこまでも強気に力を誇示し続ける中国の姿勢に、憤懣(ふんまん)やるかたない表情を見せるが、着実な努力の末に世界トップの座を勝ち取った「ハイアール」のエピソードには、「大したもんですね」と感心しきり。

一方、山内はお笑いの血が騒ぐのか、「ライブコマースって、若手芸人の名前ですよね?」などと小ボケを連発。池上が「(ゲストの)人選を間違えたかも…」とあきれ返る!?一幕も。

エンディングでは、池上からラストメッセージが。果たしてわが国は、世界の覇権を目指す中国と、どのように向き合えばいいのか。池上彰が考える、日本のあるべき姿とは…。
<池上彰 コメント>
――今回の収録を振り返って、いかがでしたか?
ゲストの顔ぶれがバラエティに富んでいて、面白かった…んですかね(笑)?かなり深刻な話題も取り上げていますから、バランスが取れてよかったのかなとは思います。より親しみやすい番組になったんじゃないかなと。
――今、“中国”という国をテーマに取り上げる意義は?
尖閣諸島をめぐる中国の動きは、日々報じられています。ただ、あまりにも毎日聞かされるものだから、人々の関心がだんだん薄れてくるんですよね。本来は大事なニュースも、毎日続くとニュースではなくなってしまう。たぶん中国は、それを狙ってるんだろうと思うんです。日常的に「ここは中国の海だよ」と言い続けるうちに、いつしか世界中の人々が、それを当たり前のことだととらえるようになる。きっと、そのときを待っているんだろうなと。
これはつくづく感じることなんですが、中国という国は、時間の感覚が全然違うんです。物事を進めていく上で、数十年くらいの長いスパンで考えているんですね。そうなると、われわれも飽きることなく、諦めずに、「尖閣諸島では今、こういうことが起きているんだ」と常に言い続けなければいけないし、中国に抗議し続けなければいけない。そんな問題意識があって、今回、「中国の野望」というテーマを取り上げました。
――その意味では、中国の“発信力”にも見習うべきところがあると?
さすがに日本は、あそこまでずうずうしくはなれないけれど(笑)、それでもやはり、もっと堂々と、声を大にして、意見を発信していくべきだと思います。今は、なんとなく「中国に抗議します…」と小声で言っているようなものですから(笑)。
中国は、よく“核心的利益(※)”という言葉を使いますよね。つまり、中国には“絶対にこれは譲れない”ということがいくつもあるわけです。そんな中国に対して、「日本にだって譲れないものがあるんだよ」ということは、しっかりと伝える必要があるんじゃないでしょうか。
(※)核心的利益…中国が自国の体制や経済発展などを維持するために、断固として保護することを明言している利益のこと
――アメリカもバイデン政権発足後、いろいろと“発信”をし始めていますが、今後、日米中の関係はどうなっていくのでしょうか?
トランプ大統領は、あくまでも“米中関係”、つまり1対1で中国との関係を続けてきたんですね。でも、今度のバイデン大統領は、多国間の協調を重んじていますから「一緒になって中国に圧力をかけようよ」、おそらくそう言ってきます。そのときに、日本はどういう対応を取るのか。声を大にして、意見を主張することができるのか。そこが問われることになると思いますね。