さくらしめじ 終わった恋の歌では「まだ感じたことのない思いを歌いました」
3月10日発売 2ndミニアルバム「ボタン」
田中雅功(たなか・がく)と髙田彪我(たかだ・ひょうが)からなるフォークデュオのさくらしめじが、2ndミニアルバム「ボタン」を3月10日にリリースした。

SNSを中心に話題となったシンガーソングライターのひらめとコラボレーションしたリード曲の「ストーリーズ(feat.ひらめ)」を始め、TwitterやYoutubeで恋愛系の投稿が共感を呼んでいるニャンと歌詞を共作した「別れた後に僕が思うこと」、ステイホーム期間中に田中と髙田がインスタライブのコラボ配信をするなかで作り上げた「会いに行こう」と、現在19歳という彼らには身近なツールであるSNSと関連の深い新曲を3曲収録。さらに中学生のときにCDデビューした彼らの初期の楽曲をアコースティックバージョンで再録した3曲を含む、全6曲が収められている。

フジテレビュー!!では、そんなさくらしめじの2人にインタビューと動画企画を実施。インタビューでは今作に込めた思いをたっぷりと語ってもらい、動画企画では、事前にTwitterで募集したファンからの質問に回答。前後編に渡って公開する。
前編のインタビューでは、今作のタイトルが「ボタン」となった経緯や、その“ボタン”という言葉が歌詞に使われている「別れた後に僕が思うこと」について詳しく解説。動画では、2人がどんな大人になりたいか、元気になりたいときにすることは?などの質問に真剣に答えてくれた。
僕たちと、もしくは聴いた人たち同士でつながり合うための“ボタン”に、なれるようなアルバムに

――今作の制作はどのように始まったのですか?
雅功:昨年から少しずつアコースティックバージョンの曲(「きみでした」「またたび」「かぜいろのめろでぃー」)の作業をしていくなかで、僕たちの中に今回のタイトルになった“ボタン”という言葉が出てきました。
“ボタン”には、「これです!」という一つの定義はなくて、いろんな意味が込められています。単に言葉の意味としても、何かを始めるときに押すボタンもあれば、服とかに付いているボタンも、花の牡丹(ぼたん)もありますよね。
昨年から急に今までできていたことができなくなったり、いつも会っていた人に会えなくなったりすることがすごく多くなって、それによる不安やもどかしさを今もぬぐい切れていない人がほとんどだと思うんです。
だからまず一つは、このミニアルバム「ボタン」を聴いた人が、僕たちと、もしくは聴いた人たち同士でつながり合うための“ボタン”に、なれるようなアルバムにしよう、という思いを込めました。

――4曲目の「別れた後に僕が思うこと」の歌詞に“ボタン”という言葉が使われていたので、そこから付けたのかと思っていました。
雅功:これが本当にリンクしたんです。一旦、タイトルの話から離れて、「別れた後に僕が思うこと」の話をすると、この曲はSNSで恋愛系の投稿をしているニャンさんと僕とで一緒に歌詞を作っていて。僕は小説を書くこともあるので、言葉というものをすごく大切にしているのですが、その中でニャンさんのことを知って、今回一緒にやらせていただきたい、とお願いをしました。
そこでまずはニャンさんにこの曲のテーマとなる失恋にまつわるキーワードをいただきたいとお願いをしたら、この“ボタン”という言葉も含まれていて。同じころ、僕ら2人の中でも“ボタン”っていう言葉を意識していたので、「もうこれは(タイトルは)“ボタン”でいいんじゃない」って。なるべくしてなったタイトルかと思います。
彪我:そうやって(今作の)制作の途中で“ボタン”というテーマがまとまったので、そこからは“ボタン”に何が当てはまるのかを考えながら(作業を)詰めていきました。
雅功:あと、今回の制作には僕らのライブに対する思いも影響していて。昨年、僕らは配信ライブをたくさんやらせていただいたんですけど、そこで大切にしていたのが、実際の距離は離れていても気持ちは近くにいるということを感じさせたい、ということで。その思いは、このミニアルバムを作る上で大きかったです。
僕はまだ感じたことのない思いを歌いました(笑)

――ここからは収録曲について詳しく聞かせてください。まずは先ほど話に出た「別れた後に僕が思うこと」ですが、そもそも雅功さんは一人でも歌詞を書けるのに、なぜ共作という形を選んだのですか?
雅功:確かに僕一人でも想像力を使って書くことはできたんですけど、まだ10代の僕が“別れ”というものをテーマにして詞を書くのは、リアルではないと思ったんです。今、世間から求められていることも、僕らが追求しなければいけないことも、リアルな部分なのでは?と思ったときに、それまでSNSで拝見させていただいていたニャンさんの言葉がぴったりだな、と感じて。それで「一緒に作ってくださいませんか?」と声をかけさせていただきました。
――ニャンさんからの言葉で印象に残っているものは?
雅功:最初にいただいたキーワードの中に、“胸にあいた穴”というのがあって。それはリアルな言葉だし、今のニャンさんだからこそ表現できる言葉だと思ったので、使いたいと(共作の)永塚(健登)さんにお話しをして。そしたら<胸には埋められない 穴だけが残ったんだ。>という形で、歌詞にしてくださいました。

――雅功さんが歌詞でこだわった部分は?
雅功:サビに<変わらないその暖かさで>というワードがあるんですけど、最初は違う言葉だったんです。
僕の中でこの曲はサビ以外の部分が、別れをテーマにしていることもあって、冷たいというか、無機質な感じがしていて。<軋む歯車 閉じたままの扉>とかも、無機物じゃないですか。そういう感じをサビでは一変させて、やわらかさやあたたかさを出したいと思っていたんです。
だからそれを出すために<変わらないその暖かさで>という言葉を使いました。この部分は個人的に皆さんに聴いてほしいな、と思っているところです。
――彪我さんは雅功さんが関わった歌詞について、どんな印象を持ちましたか?
彪我:雅功は普段こんなことを思っているのかと。こんな大人な歌詞も書けるんだな、って(笑)。
SNSで共感を得ているニャンさんの表現は、直接的で、読んでいて「わかる!」って思うことが詰められているんですけど、それが雅功の表現とうまくマッチして、素敵な歌詞になったと思いました。

――歌うときは、どんなことを意識しましたか?
彪我:今回収録された6曲の中で、この曲(歌う上で)の難易度が一番高かったんじゃないかと。リズムの出し方が難しいんですよ。あとはAメロBメロは静かに歌いつつも、その内にある強く熱い思いを表現しなくちゃいけないとか。苦戦しましたね。
それからサビの最後の<好きだよ。ありがとう。ごめんね。>の表現は、“好きだよ。ありがとう。”からの“ごめんね。”って、どういう気持ちなんだろう、と雅功とも話し合いました。
――2人の中で、これという見解はありますか?
彪我:この曲はタイトルでも言っているように“別れた後に僕が思うこと”を描いているのですが、やっぱりそこにある一番大きな気持ちは後悔なのかな、と。後悔をしながらも、あのときは好きだったよ、いろいろしてくれてありがとう、という。後悔と重なる感謝という複雑な思いです。僕はまだ感じたことのない思いを歌いました(笑)。
雅功:僕も彪我が言っていたようにリズムには苦戦しました。あと、<好きだよ。ありがとう。ごめんね。>のところには、この曲のすべてが詰まっていて、ここをどう歌うかで曲の色味がまったく変わってくるので、彪我は「話し合いました」ってさらっと言いましたけど…。
彪我:もうちょっと熱く言った方がよかった?(笑)
雅功:(笑)。ホントに、あーでもない、こーでもないって、結構な話し合いをしました。ただそうやって事前に話したことで、レコーディングでは2人ともすごく納得のいく形になったと思います。
今回、この「別れた後に僕が思うこと」に限らず、2人で話し合うことが多かった気がします。これまでも話し合いをして、ブラッシュアップをするということは、作品ごとにやってきましたけど、今回は特に再録の曲もあったので、改めてこの曲はどういうことなんだろう?というのを2人で話すとか。2人で話すことで発見できたことが特に多かった一枚になったと思います。
撮影:小嶋文子
<さくらしめじの2人がファンからの質問に答えた動画はこちら>
2ndミニアルバム「ボタン」
2021.3.10発売
<収録曲>
1. きみでした (Acoustic Version)
2. またたび (Acoustic Version)
3. かぜいろのめろでぃー (ボタン Version)
4. 別れた後に僕が思うこと
5. ストーリーズ (feat.ひらめ)
6. 会いに行こう
詳細はさくらしめじ公式サイトまで。