渡辺謙「時計が動き出した」再演に感無量!宮沢氷魚は、大先輩からの期待に「プレッシャー」
舞台「ピサロ」5月15日(土)~6月6日(日)/PARCO劇場
5月14日(金)、舞台「ピサロ」の初日前会見とゲネプロ(公開稽古)が行われ、主演の渡辺謙、宮沢氷魚らが登場した。
本公演は、2020年3月にPRCO劇場オープニング・シリーズ第一弾として華々しく開幕する予定だったが、コロナ禍により初日を延期、45回予定のところわずか10回の上演となり、この度、アンコール公演を行うこととなった。

「ピサロ」は16世紀、巨大なインカ帝国を征服した、スペインの成り上がりの将軍・ピサロの物語。齢60を超えたピサロは、少数の平民を引き連れ、過酷な行軍の末、数千人のインディオを虐殺。自らを太陽の子と謳うインカの王・アタウアルパを生け捕りにし、釈放の代償として莫大な黄金を要求する。

本公演への抱負について、渡辺は「昨年は、『もうちょっとで手が届きそうだな』と、掴みかけた時での中止だったので、この公演では、オールキャストで何かを掴みたい」とコメント。宮沢も「去年よりパワーアップして、エネルギーのある作品を届けようと稽古をしてきました」と意気込みを語った。
昨年の状況について、渡辺は「お芝居を楽しみましょうという空気ではない中での公演だった」と回顧。
また、稽古再開時の心情について「シャッターを下ろして、止まっていた感じです。稽古がもう一回始まり、懐かしいメンバーと読みあわせをした時に、時計が動き出した感じがしました。僕の中で『ピサロ』という芝居に対して、秒針が止まっていたことに気づきました」と、しみじみと振り返った。

宮沢も「去年中止が決まった日に、謙さんが『また会いましょう』とおっしゃってくれて、『これは間違いなくやるんだな』と、信じられました。中止になってすごく悔しい思いもありましたが、謙さんの言葉を思い出すと、とても前向きになれました。1年経って、作品を披露できることを幸せに思っています」と、1年間の心境を語った。
また、同じ役を再び演じることは、今回が初めてだそうで「全然違う景色が見えてきたり、自分の成長を感じられる瞬間がある」と、再演ならではの発見があったよう。
そんな宮沢に、渡辺は「かなり成長しています」と期待を寄せると、宮沢は「プレッシャーです」とはにかみ、お互いに信頼感を築いている様子が伺えた。

渡辺はまだ無名だった1985年、山崎努主演の「ピサロ」に、アタウアルパ役で出演。「俳優を一生の仕事とする」と覚悟を決めた作品の1つとなったそう。そのアタウアルパ役を今回演じるのが、宮沢。昨年の公演では、渡辺謙に引けを取らない演技力を見せて話題となった。

1年間を経ての変化について、渡辺が「アタウアルパは、非常にハードルが高い役なので相当大変だったのでは」と、宮沢を気遣う場面も。自身のピサロ役については、「老いぼれの役なので、1つ歳をとって一層役に近づいたのかな」と目を細めた。

宮沢は「去年は先輩方についていくだけで、一杯いっぱいでした。1年間で経験を積んで、今回は若手がパワーアップして、先輩方に負けない強い力を身につけました。謙さんに負けないように、勢いよく自由に力強くやっていきたい」と、声に力を込めた。

続けて宮沢は「僕にしか演じられないアタウアルパを作りたいと思っています。謙さんから、アドバイスはたくさんもらっています。考えるきっかけをいろいろ与えてくれています」と大先輩に感謝。
すると渡辺は、アタウアルパ役について「あの感覚は、やった者しか分からないよね。『ここに、俺は生まれたんだ!』って感覚。鳥肌が立つ」と笑顔を見せ、宮沢と、偉大な“王”役の心境を語った。

最新情報は「ピサロ」公式サイトまで。