奥平大兼 「誰かに何かを与えられる役者に」新人男優賞受賞!プレゼンターに窪塚洋介も登場
5月31日(月)、映画批評家ならではの視点で選出される、第30回「日本映画批評家大賞」授賞式が行われ、各賞の受賞者が発表された。
「日本映画批評家大賞」は、映画評論家のみが選考委員を務め、“本音で”その1年の中で輝いた優秀な作品、俳優を選出する。
ここでは、授賞式に登壇した各賞の受賞者のコメントを紹介する。
<新人男優賞:奥平大兼>

実際に起きた事件に着想を得て制作された「MOTHER マザー」で、祖父母を殺害してしまう周平を演じた奥平大兼。
選考理由について、「作品を包む閉塞感の中に溶け込み、映画と一体になっていた」とその存在感を絶賛された奥平は、「今年の7月でこの映画が公開されて1年が経ち、僕の俳優人生も1年になりました」と挨拶。

続けて、「まだ自分の中に自信がないことがありますが、このように名誉のある賞をいただけた」と喜びをコメントし、「この1年は自分が勇気をもらう側でしたが、これからは誰かに何かを与えられる役者になりたい」とまっすぐな目で今後の抱負を語った。
<新人男優賞:宮沢氷魚>

「his」で、周囲にゲイだと知られることを恐れ、田舎でひっそり暮らすところに、6歳の娘を連れて元恋人が突然現れ戸惑う主人公・井川を繊細に演じた宮沢氷魚にも新人男優賞(南俊子賞)が授与された。
「今の時代にフィットした、彼以外にこの役を演じることはできない」と選考委員から評された宮沢は、現在舞台の稽古中とのことで舞台の客席から中継で喜びの声を伝えた。
初主演となった「his」について、「初主演映画でとても思い出深い作品で、かなりチャレンジングな作品」と語り、「いつかLGBT作品に出たいと思っていました。学生時代の友人がLGBTで、生きづらい毎日を過ごしている彼を見て、彼が少しでも生きやすい世の中になったら」と出演にあたっての心境を明かした。
また「his」という作品を通して、「ひとりでも多くの人が、より生きやすくなってほしい」と思いをコメントした。

また、「罪の声」で助演男優賞に選ばれた宇野祥平へのプレゼンターには、昨年度の受賞者である窪塚洋介が登場。「非常に謙虚でひたむきに役に向かう姿、日本映画に向かう姿に感銘を受けました」と宇野を称え、トロフィーを渡した。

そして、昨年度は授賞式が行われなかったことに触れ、「僭越ですが、昨年この賞をいただいたことを皆さんにお伝えできなかったので、この場を借りて感謝をしたい」と、会場に向けて感謝を伝えた。

<第30回 日本映画批評家大賞 受賞一覧>
作品賞:「星の子」
主演男優賞:中村梅雀「山中静夫氏の尊厳死」
主演男優賞:津田寛治「山中静夫氏の尊厳死」
主演女優賞:のん「私をくいとめて」
助演男優賞:宇野祥平「罪の声」
助演女優賞:浅田美代子「朝が来る」
監督賞:大九明子「私をくいとめて」
新人監督賞:内山拓也「佐々木、イン、マイマイン」
新人監督賞:HIKARI「37セカンズ」
新人監督賞:佐藤快磨「泣く子はいねぇが」
新人男優賞(南俊子賞):宮沢氷魚「his」
新人男優賞(南俊子賞):奥平大兼「MOTHER マザー」
新人女優賞(小森和子賞):服部樹咲「ミッドナイトスワン」
新人女優賞(小森和子賞):佳山明「37セカンズ」
新人女優賞(小森和子賞):吉本実憂「瞽女GOZE」
ドキュメンタリー賞:「ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ」
アニメーション作品賞:「劇場版 ごん – GON, THE LITTLE FOX – 」
脚本賞:天野千尋「ミセス・ノイズィ」
脚本賞:入江悠「AI崩壊」
編集賞(浦岡敬一賞):李英美「スパイの妻<劇場版>」
映画音楽賞:渋谷慶一郎「ミッドナイトスワン」
特別賞(松永武賞):新文芸坐
国際審査員特別賞:チェ・ブラム
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):火野正平「罪の声」
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):田中裕子「おらおらでひとりいぐも」
ダイヤモンド大賞:大林宣彦