「舐めてるやつが嫌い」なノンスタ石田明が「熱い漢!」と惚れる植田圭輔との仲
石田明(NON STYLE)と植田圭輔がW主演を務める舞台「トキワ荘のアオハル」。植田が「石田さん、若手のあいだでよく話題に上がるんですよ」とその演技力を絶賛すると、石田も「(舞台上で)僕のほうが怯んでしまったのが、植田くんでした」と明かす。プロの表現者としてその実力を互いに認め合う2人が、舞台に賭ける思いとは。
11月3日(水・祝)〜4日(木)、東京芸術劇場プレイハウスにて、舞台「トキワ荘のアオハル」が上演される。同作は、漫画家・手塚治虫をはじめ若手漫画家たちが暮らした実在のアパート「トキワ荘」(東京・豊島区)をモチーフにした現代コメディ作品だ。
フジテレビュー!!では、同作でコンビの若手漫画家“アオヅカハルオ”を演じる石田明と植田圭輔にインタビュー。その前編では、舞台本番で繰り広げられるだろう「アドリブ合戦」について予想してもらい、植田が「石田さん、(本番では)助けてください(笑)」と“事前通告”して盛り上がりを見せた。
後編となる今回は、取材の合間も仲良く雑談を交わす2人に、お互いの素顔や仕事観について聞いた。
<石田明(NON STYLE)&植田圭輔 インタビュー>

石田明が演劇界で絶賛される理由「これ絶対記事に書いてっ…(笑)!!」
――石田さんと植田さんのお二人だからこそ知る、お互いの素顔を教えてください。
植田:石田さんは、めちゃくちゃ役者です!芸人さんであり、役者です。石田さんって、僕ら舞台俳優の若いやつとよく共演しているじゃないですか。石田さんは、知らないと思うんですけど…
石田:うん?
植田:若手のあいだで、よく話題に上がるんですよ!「石田さん、やばない!?」って。石田さんは、つかこうへい作品をはじめ、いろんなお芝居もやられてますし、芝居への取り組み方とか、舞台上で見せる“目”とか。もう、ただの役者ですもん。僕らも負けてじゃダメなんですけど、けっこう「アイツ、石田さんに食われてたな」とか、「俺、いま石田さんに負けてるかもな」とか思うことが多くて。そういうのを酒のツマミにしてよく飲んでます。
石田:うれしい!!これ絶対記事に書いてっ…(笑)!!
植田:いや本当にすごいです。マジで尊敬します。

「一気に好きになった…」石田明が見た植田圭輔のプロ意識
石田:植田くんはね、難しいほうの字で書く「漢(おとこ)」です!めちゃくちゃ熱い漢。初めて一緒になった時には、そんなイメージなくて、「今どきの子なんやな」って思ってたら、もうゴリゴリの漢。「稽古の初っ端からこんなにエンジンふかしてくれる人おるんや!?」って、僕はびっくりしました。一気に好きになった瞬間でしたね。
僕…、あの〜、舐めてるヤツ嫌いなんですよ(笑)。 目の前に舐めてるヤツがおったら、僕のなかで“本気スイッチ”が入るんです。でも、自分の本音を相手に言うのは嫌やから、「お前が得意なジャンルで勝負しようぜ?」って思って。
だから僕が演劇に本気になるのって、それが理由なんですよ。「お前ら、生の舞台を舐めてるやろ?」って僕のスイッチが入るんですけど、そこで逆に僕のほうが怯んでしまったのが、植田くんでした。「コイツ、初日からこんなに…!?俺も負けてられへんな!!」って心のなかで思った方が何人かいて、その中の1人が植田くんですね。「漢」やな〜って。
植田:あぁ〜…、もう今日は気持ちよく寝れます。まだ今は朝10時ですけど(笑)。

石田明、芸歴22年目を迎え「自分の弱さに気づけたことで、補強して補強して、今がある」
――舞台の作中には、「トキワ寮」に住む漫画家志望や声優・ミュージシャン志望の若者たちが多く登場します。彼らのように、自分自身が“好きなこと”でお金を稼いで生きていく上で、いちばん大事なことは何だと考えますか。
石田:あぁ…なんでしょうね…?僕は芸人になって22年目になりますが、最初の12〜13年のあいだは、どっちかというと「やりたくない仕事」のほうが実は多かったかもしれないですね。でも今は正直、「やりたい仕事」しかやってなくて。
その経験から思うのは、たとえ「やりたくない仕事」のオファーが来たとしても、まずは引き受けて、その中から「自分がやりたいこと」をどれだけ見つけ出せるか?が大事だと思います。その作業を繰り返していれば、気づけば全部「やりたい仕事」に変わっていくのかな…って思いますね。

――「やりたくない仕事」をしていた当時は、夢を諦めたといいますか、心が折れたこともあったのでしょうか。
石田:心なんか、もう折れっぱなしですよ。だって、僕は22歳から34歳ぐらいまで薬飲みっぱなしですからね、心療内科に通いつづけて。今はもう必要なくなりましたけど、まあ、「自分の貧弱さに気づくこと」は、自分が強くなるための一歩でもある、と僕は思えるようになりました。もともとはね、「なんで俺、こんなことできへんねん?なんで俺、アイツに勝たれへんねん?」っていう思いばっかりで、落ち込んでいました。
でも、自分の弱さに気づけたことで、補強して補強して、今があるんで。なので、今はそう簡単に負けないぞというか。まあ本来は、戦う必要もないんですけどね。
――先ほどもお話がありましたが、石田さんにとって、「生の舞台」とはどのような存在ですか。
石田:最優先しているものですね、生の舞台。漫才も演劇も、家族との一コマも、全部「生の舞台」だと思っています。その時その時に相手を楽しませられるか、感動させられるかっていうのは、どれも一緒なんですよね。なので、一瞬一瞬を生きています。

――熱いお話をありがとうございます…!植田さんはいかがですか?
植田:な〜んも話すことないっすねぇ。
石田&植田:(爆笑)
植田:いや〜なんか、好きやなぁ〜と思いますね、石田さんのそういうところ、うん。何の質問でしたっけ?
石田&植田:(ふたたび爆笑)

植田圭輔「どこかで絶対に一発かます!」舞台俳優としてのマイルール
ーー植田さんは、自分自身が“好きなこと”で生きていく上で大事なことは何だと思いますか?
植田:そうですね…、なんだろう…?自分の場合ですけど、僕は舞台俳優として、「植田圭輔がその役を演じる意味」を追求できなくなると怖くなるので、それはすごく大事にしなきゃいけないと思っています。
今回の舞台も含めて、いろんなお客さんやスタッフさんとお会いしていくなかで、稽古中とか本番初日の舞台とかで、なんか周りに印象に残さなあかんというか、どこかで絶対に一発かまさなきゃいけないんですよ、これは僕個人のマイルールなんですけどね。ほかの役者さんもそれぞれオリジナリティの出し方を持っているなかで、僕は「どこかで相手の印象に残る」ことが大事かなと。これを思えなくなったら、自分の場合は“終わり”かなと…、そう思いますね。

――最後に、舞台をご覧になるお客さんへ向けてメッセージをお願いします。
石田:舞台や演劇を見たことがない方でも、 何も考えずに手放しで笑って心が動くような作品だと思いますので、ぜひリラックスした状態でご来場いただけたらと思います。
植田:きっと楽しいと思います。作中ではこっ恥ずかしいセリフをドストレートに言ったりするんですけど、そうやって素直に言えることって僕はすごく素敵だと思いますし、自分も人生のなかでそうしてきたつもりなので、僕はこの話は好きですし共感できます。皆さんにもきっと同じように感じてもらえるんじゃないかと思いますし、「明日から頑張ろう」という気持ちになれる作品だと思いますので、本当に手放しで楽しんでいただけたらと思います。

エンタメへの情熱と高いプロ意識を持ち、それぞれ表現力を磨きつづける2人。あの伝説の「トキワ荘」の住人たちも、きっと彼らのような“熱い漢”たちだったことだろう。
撮影:河井彩美
<舞台「トキワ荘のアオハル」公演概要>
公演期間:2021年11月3日(水・祝)~11月4日(木)※3日は夜公演のみ
会場:東京芸術劇場プレイハウス
脚本・演出:久馬歩/寺本覚
出演:植田圭輔、石田明(NON STYLE)、松島勇之介、竹若元博(バッファロー吾郎)、河本準一(次長課長)、
矢部太郎(カラテカ)、しずちゃん(南海キャンディーズ)、坂本純一(GAG)、福井俊太郎(GAG)、宮戸洋行(GAG)、松浦志穂(スパイク)、小川暖奈(スパイク)、太田夢莉、西村竜哉、福田転球
※11月3日ゲスト出演:天竺鼠、11月4日ゲスト出演:野性爆弾
最新情報は、舞台「トキワ荘のアオハル」の公式サイトまで。