舞台俳優・味方良介が木村拓哉主演作で映像作品に初挑戦「宝くじに当たった感覚」
2020年1月4日(土)、5日(日)21時から二夜連続放送 フジテレビ開局60周年記念特別企画『教場』
1月4日(土)、5日(日)21時から二夜連続放送となる、フジテレビ開局60周年記念特別企画『教場』。
本作は“教場”と呼ばれる警察学校の教室を舞台に、「警察学校とは適性のない人間をふるい落とす場である」と考える冷酷無比な教官・風間公親(かざま・きみちか/木村拓哉)と、その教え子たちを巡る物語だ。
放送まで数日と迫る中、生徒役を演じた工藤阿須加、川口春奈、林遣都、葵わかな、井之脇海、西畑大吾、富田望生、味方良介、村井良大、大島優子、三浦翔平らのインタビューを連載。誰もが「大変だった」と口をそろえる撮影のエピソード、木村との交流などについて聞いた。
<都築耀太役・味方良介インタビュー>
――撮影はいかがでしたか?
僕は映像作品初出演だったので、本当に刺激的でした。右も左もわからない状態で参加した現場は「これは現実か」「これが撮影か…」と驚きっぱなしな上に、自分が今までやってきた世界とは物理的にも感覚的にも違い、作品や役へのアプローチに悩む部分もありましたが、その全てが自分の人生にとって貴重で大切だと感じました。またいつか映像の世界に挑戦したいと思わせてくれる素敵な2ヵ月でした。
――舞台と一番違うところは?
繊細さの違いです。舞台独特の表現や生ならではの芝居が映像ではオーバーアクションになってしまう。今まで培ってきたもので勝負すると自分の中で少しズレが生じて苦労しました。
声のボリュームがいい例で、舞台では客席で観ている人に言葉が届かないと意味がないので劇場が大きくなればなるほど、どうしても普段より大きな声で喋ってしまうのに対し、映像ではリアルなトーンで会話ができるので舞台とは違った心の微妙な揺れが伝わる。
そこが最初は難しくて、どうしても大きくなってしまい、監督はじめ出演者の皆さんにも「大丈夫、マイク信じて」と言われ「本当に大丈夫ですか」なんて言いながらもなかなか慣れるのは大変でした(笑)。
――映像作品が決まったときはどんな気持ちでしたか?
最初は「僕で合っていますか?」と今までの人生で一番真っ直ぐな驚きでした(笑)。 舞台の世界で生きてきて、特別知名度があるわけでもないですし、映像の世界で主線を走る同世代の俳優が沢山がいる中で「本当に味方か?」と。
まさに宝くじが当たった感覚。でもきっとこんなチャンスは二度とないだろうから、やるからには自分がやれること以上のことをやりたいな…と闘志に火がつきました。
――今回は、オーディションですか?
オーディションではなく抜擢(笑)!まぁそれは冗談ですが。舞台を観に来ていただいた時にお話をもらいました。作品や役のお話よりも先に「やってみないか?」と。台本を読み終えたあとに「都築役です」とマネージャーから伝えられ、もう一度丁寧に読んで「ほぉほぉほぉほぉ」と。
初めての挑戦で、「あの木村拓哉さんとここまでぶつかり合えることがあるのか?」と…だって存在していると思ってなかった人ですから(笑)。同時にかなりプレッシャーも感じました。
――なぜこのタイミングで映像の世界だったのでしょうか?
食わず嫌いな部分がありました。まだまだ舞台で挑戦できていないことや乗り越えられていないことが多々あるので、自分が満足するまで舞台を…という思いがありましたが、近年いろいろな種類の演劇作品に携わらせてもらい沢山の俳優と出会うなかで、自分の考えが自分自身の成長を止めてしまうし、舞台以外の刺激を得なければ視野が広がらないな…と思っていた矢先だったので今回挑戦させていただきました。
――木村さんとの共演はいかがでしたか?
撮影初日が拓哉さんとのシーンでした。撮影現場の空気を知るために早めに入り、先にお一人のシーンを撮影している拓哉さんの姿を見て、「こうやるんだな」「こうやって立っているんだ」と勝手に盗んでいました。
最初に撮影に挑む俳優の空気を教えてくれた…勝手に教わったと思っているだけですが、それが木村拓哉さんだったことは僕の財産です。
いざ目の前に立ったときは言葉にならないものを感じました。圧というか、オーラというか…魔王みたいな…なんだこの人って(笑)。舞台の上なら誰と対峙しても負けないという気持ちはありますが、拓哉さんの目を見たときは飲み込まれそうになりました。
でも、ここでこの空気に負けて飲まれたらダメだと思い、絶対目を反らさないでこの人についていこうと思いました。それでも毎日緊張感はありました。だってそこに風間教官という分厚い鎧を纏った木村拓哉さんがいるんですから(笑)。
――木村さんに言われたこと、木村さんと話したことで印象に残ったことは?
全部。その日、その瞬間に話してくれたことが全て印象的です。全俳優、全スタッフさんへの気遣いと心配りは素晴らしいものだと感じました。僕が作ったサンドウィッチを食べて「うまい」の一言をいただけたのは感動しました(笑)。
――他の共演者の方はどうでしたか?
経験豊富な俳優の皆さんだったので一つ一つを丁寧に教えくださり助けていただきました。カメラ前でのお芝居だったり一番引っかかった声のボリューム調整だったり…三浦さんをはじめとする出演者の皆さんにフォローしていただいて都築という役が完成したと思います。あ…現場に持って行った手作りのおにぎりやサンドウィッチをみんなに奪われたのはいい思い出ですね(笑)。
――訓練はいかがでしたか?
訓練があったことにすごく助けられました。舞台をやるときは1ヵ月の稽古期間で関係値が生まれていくので、訓練があったからこそ全シーンが力強いものになったのかな…と。
――苦労したシーン大変だった撮影はありますか?
どのシーンがというより、作品が最初から最後まで順当に進んでいかないところに苦労しました。舞台の話ばかりになりますが、2、3時間の作品を1ページ目から終わりまで通すのに対し、映像はその日撮るシーンがバラバラなので、感情や心情を一番高いところに持っていく瞬発力にすごく悩まされました。
――撮影をしていくうちに慣れていきましたか?
慣れないですね。だからこそ集中力が高まりました。自分で空気を作って、今までの自分が読んできた台本と撮ってきたシーンを照らし合わせながら、心にチャージして出すという…それを皆さん当たり前にやるからこの人たちすごいなと…いち視聴者ですよね(笑)。
――この作品を通して変化はありましたか?
舞台の上でもより繊細さを求めたいな…と思いました。映像の現場で得たものをどこまで舞台で使えるのか、また使ったときにどのような変化が起こるのか楽しみです。それに加えて食わず嫌いだった自分に喝を入れることができました。食べたからこそわかる旨味や深み、渋みに気付けて力強く背中を押されました。
――今後やってみたい役とかはありますか?
なんでも!『教場』の中にも様々なタイプのキャラクターがいましたが、どの役も自分が経験したことのないものなので見ていて魅力的でした。どんな役でもやってみたいです。
――『教場』は味方さんにとって、本当に大きい作品だったんですね。
本当に大きいです。幼い頃にミュージカルに憧れてこの世界に飛び込み、数多くの舞台に立たせていただくうちに演劇の深さに心を揺さぶられ、その演劇がきっかけで今回『教場』という作品に携わることができました。この作品のおかげで僕の価値観や考え方が大きく変わりました。
――見てくださるみなさんに一言。
時代に逆らった刺激的な作品です。言葉一つが命取り、そんな時代に大切な「なにか」をこの作品は語っています。決して明るく楽しいポップな作品ではありませんが、人の心を丁寧に描き明日を踏み出す勇気をもらえると思います。お正月ですが『教場』の重厚感にのめり込んでください!
<木村拓哉から味方良介への質問>
Q. 風間教場をひと言で言うと?
堅実。
Q. 今だから言える風間教官にやめてほしかったことは?
どれだけ朝早くても風間教官であったこと。
Q. 木村拓哉と共演するならどんな役で共演してみたい?
仲のいい先輩後輩。