【宝塚OG劇場】愛希れいか「今までの役作りとはガラッと違う」新たな挑戦でぶつかった“壁”
宝塚歌劇団の元スターに、輝く秘訣やこだわりを語ってもらう「宝塚OG劇場」。第5回は、月組トップ娘役として活躍し、2018年に退団した愛希れいか(まなき・れいか)が登場。
男役として初舞台を踏んだ愛希は、娘役に転向後「ロミオとジュリエット」「風と共に去りぬ」「エリザベート-愛と死の輪舞-」など数々の名作に出演。凛とした可愛らしさとダイナミックなダンスが持ち味で、娘役としては異例の宝塚バウホール(※)公演主演を果たした。
(※)宝塚バウホール:宝塚歌劇団が小規模の公演を行う劇場。バラエティに富んだ公演が行われ、ここで主演を務めることは若手スターの登竜門でもある。
退団後は、「フラッシュダンス」「The Illusionist-イリュージョニスト-」「マタ・ハリ」などミュージカルを中心に活躍し、12月からは宮沢りえ主演の舞台「泥人魚」に月影小夜子役で出演する。
そんな愛希にフジテレビュー!!がインタビュー。「泥人魚」への意気込みや、最近ハマっている趣味などを聞いた。また、タカラジェンヌOGといえば、オシャレで個性的なファッションも魅力のひとつ。そこで本連載では、それぞれの“こだわりの一着”も紹介してもらう。
「いくら台本を読んでもわからない」今までと全然違う感覚

――「泥人魚」は劇作家・唐十郎氏による伝説の戯曲とされ、初演以来18年ぶりの上演になります。出演オファーを受けたときは、どんな気持ちでしたか?
「大丈夫かな…」という不安と緊張がすごくありました。でも、挑戦できる機会をいただけて、素晴らしい作品と素敵な出演者の皆さまに恵まれて、本当にうれしく思いました。
――唐作品には、どんな印象を持っていますか?
何作品か観ましたが、「唐版 風の又三郎」が記憶に新しく印象的です。一度で理解することはすごく難しいですが、とても面白くて魅力を感じました。私もいつかこういう舞台に出演できたらいいなと、心のどこかで思っていたので、うれしいです。
――台本を読んだ感想を教えてください。
いつもは、自分なりに「この人物は何を思って行動しているのか」を考えて、積み上げてからお稽古場へ行くんです。でも今回は、積み上げることすらできない。いくら台本を読んでもわからなくて。実際に演じてみないとわからないなと思いながら、今までとは全然違う感覚でお稽古場へ向かいました。
――稽古の手応えはいかがですか?
とにかく、皆さんのお芝居やその場の空気など、いろいろなものを感じて、出して、感じて、出して…と、“キャッチボール”をしています。もちろん他の作品でもキャッチボールは大切にしていますが、私の今までの役作りとはガラッと違うので、最初は戸惑いました。
でも、実際にセリフを声に出して体を動かしていくと、わからなかったことが理解できたり、新しい発見があったりします。演出家の金守珍さんは、よく「奏でてほしい」とおっしゃるのですが、奏でるように演じてみると、いろいろ腑に落ちたり、役への思いを深めたりできますね。

――お稽古場はどんな雰囲気ですか?
活気にあふれています!私はまだまだ緊張していますが少しずつ和らいで、楽しませていただいています。もっともっと楽しんでいきたいです。
特に主演の宮沢りえさんは、唐さんの作品に出演経験があるので、よくアドバイスをくださいます。私が「考えてもよく分からない」と相談したら、宮沢さんは「考えるより感じてみて。一度、大きな声を出してやってみたら何か見えることがあるかもしれないよ。不安だと思うけど、お稽古場に散らばっているヒントを掴んで、とにかく感じてほしい」とおっしゃってくださいました。
――ほかの共演者の皆さんとは、何かお話していますか?
磯村勇斗さんはもう出ずっぱりなので、ゆっくりお話する間もなく…。すごいなぁと思いながら、お稽古を拝見しています。皆さんにお聞きしたいことばかりなので、たくさんお話できたらいいなと思っています。
――舞台に立つ日に、宝塚時代から今も変わらず行っていることはありますか?
必ず、舞台へ挨拶しに行きます。その日の舞台の空気って毎日違うんですよね。だから公演が始まる前に、舞台と客席へ行って空気を感じて、「今日も1日よろしくお願いします」と頭を下げます。舞台は神聖な場所だと思うので、挨拶をして、自分の中で1つスイッチを入れる感覚ですね。
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