酒井美紀「馬も子どもたちも、こんなに愛情いっぱいで育てられて幸せだな」北海道の牧場一家の12年に感動
11月28日(日)13 時40 分~『ザ・ノンフィクション「私が守りたいもの~北の大地 牧場一家の12年~」』(※関東ローカル)
酒井美紀が“語り”を務めた『ザ・ノンフィクション「私が守りたいもの~北の大地 牧場一家の12年~」』が、11月28日(日)13時40分~放送(※関東ローカル)される。
北海道・新冠町にある牧場で競走馬を育てる家族の12年の物語
番組がその家族に出会ったのは12年前――。大林美和さん(当時34歳)が嫁いだのは、北海道・新冠町の小さな牧場。札幌で生まれ育ち、スローライフに憧れた美和さんは結婚して7年。父がつくった牧場を継いだ夫と保育園に通う2人の息子とともに、競走馬を育てる毎日。

命と向き合う仕事は、早朝から深夜まで続く重労働で、休日もない。嫁いで来た当初、美和さんは毎日馬房で泣いていたという。長引く不況で競争馬は売れなくなり、生活は苦しくなるばかり。
そんな時、稼ぎ頭だった牝馬が放牧中に足を骨折し、やむなく安楽死処分に。牧場経営を揺るがす大ピンチに陥り、夫は経営難で無気力になってしまう。美和さんはそんな夫を支え、経営を少しずつ立て直していくが…。

そして2017年、美和さんは、都会に住む不登校の小学生、双子のきょうだいを預かる決心をする。雄大な自然や馬に囲まれたこの場所なら、2人の傷ついた心をいやすことができると美和さんは信じていた。美和さん夫婦と息子2人との不思議な共同生活。次第に息子たちと一緒に学校へ通い始めるきょうだい。大林家で暮らし始めて1年、この地で卒業式を迎えることになる。
美和さんが子どもたちに伝えたいこと。そして、どうしても守りたいものとは…カメラが見つめた北の大地で生きる家族の12年の物語。“語り”を担当した酒井美紀は、どんなことを感じたのか。収録後に聞いた。
<酒井美紀 インタビュー>

――ナレーション収録を終えての感想は?
感動しながら読んでいました。ナレーターがそれではいけないと思いながらも…やさしくて、とてもいいお話でした。
命と向き合っている大林家が素敵なんですよね。子どもたちも、ここで見た以上の経験を積んでいると思うんですけど、命が生まれて死んで…ということから、命の尊さ、大切さ、“家族”というものも、学んでいるんだなと思って。
お母さんの美和さんもとても素敵でした。旦那さんが無気力になっていた時期、経済的に苦しい中でも、子どもたちと一緒に手作りケーキで旦那さんの誕生日をお祝いして。子どもたちのお手紙も素晴らしかったですし。
つらい時期でも、大好きな家族と馬…大切なものを本当に守っている感じがして感動しました。
――思わずグッとくるところもありましたか?
はい。もう、全編にわたって。台本だけでこんなに涙したのは久しぶりですね。特に、(馬を)安楽死させる場面。そこが涙の第一波でした。そのあとの、(大林家にやってきた)双子ちゃんとの別れもつらかったです。
――その中で成長していく子どもたちはどのように見ましたか?
小さいときから、両親がファームを経営している、馬と接するお仕事だってことをよく理解している子どもたちでした。(育てた馬の)デビュー戦のときにテレビを見ながら「絶対に勝つ!」と応援する姿もすごくかわいくて。
自分たちも手伝えるようになってからは、自然と馬の世話をするようになる、その成長をこうやってみられるのはなかなかないことですし、親戚のおばちゃんのような気持ちで見守りながら、12年後の映像には「こんなに大きくなっちゃたんだ」と驚いたりしました。
幼少期のかわいいところから、思春期のちょっとした反抗を見ても、順調に成長しているな、と感じました。
(クールな態度の息子に)美和さんは、ちょっと寂しいと言っていましたけど、でも、あの時期を過ぎたら、命に対してもそうですし、親も家族も、みんなを大切にしていけるような人になるだろうな、と思いました。
――美和さんはスローライフに憧れて牧場に嫁いだとありましたが、そういった憧れはありますか?
私は静岡の山奥で育っていて、そもそもスローライフからスタートしていますし、自然が大好きです。ただ、ああやって命…動物たちとともに暮らすというのは本当に覚悟がいることだなと思いました。(「憧れる」なんて)簡単には言えません。
それと、毎日、一生懸命お世話をして愛情いっぱいに育てた馬が、巣立って、競りで売られるという。売れることはうれしくても、ずっと家族のように育ててきているから、寂しいだろうなって。もちろん、いい競走馬が生まれて活躍してくれることが美和さんたちの喜びとはいえ…そんなことも思いました。
――改めて、見どころと視聴者へのメッセージをお願いします。
馬の出産や飼育の様子ですとか、なかなか見られないことも見られますし、そこで命と真剣に向き合う人々と、その間にある家族、周囲の人との支え合いみたいなところも感動的ですので、ぜひ見ていただきたいです。
馬も子どもたちも、こんなに愛情いっぱいで育てられて幸せだな、とあったかい気持ちになれると思います。
今後、(牧場経営が)息子さんたちの世代になったときに、彼らがどんな風に仕事をしていくのかも楽しみです。引き続き追い続けてほしいな、と思いました。