山田裕貴 全編にわたり集中力が必要な作品に「苦しいですよ(笑)」
12月6日(月)、音楽劇「海王星」の初日前会見が行われ、山田裕貴、松雪泰子、ユースケ・サンタマリア、音楽と音楽監督を担当した志磨遼平(ドレスコーズ)、演出の眞鍋卓嗣が登壇した。

会見の前には、本作のポイントとなるシーンを取材陣に披露するフォトコールを開催。その後、登壇者によるフォトセッションが行われると、ユースケはカメラに向け「舞台『この子誰の子』、開幕です」と架空の作品をアピール。その様子に、山田は手を叩いて笑った。



主人公の猛夫を演じる山田は「本読みをした時には約4時間くらいの本でした。1幕・2幕・3幕と構成されていたものを、観やすいように、届きやすいようにと、休憩を挟んで3時間くらいの作品にしています。ギュッとしたことにより、短いシーンの中で起伏が激しかったり、隅の隅まで伝えるには相当の技量と、集中力と精神力が必要だなと思っています」と説明。
続けて、「眞鍋さんとディスカッションしたり、松雪さんに支えてもらい、ユースケさんはお芝居じゃないところで笑顔にしてくれたり、志磨さんの音楽が助けてくれたり、キャストの皆さんが歌や踊りで盛り上げてくれているので、まずはここに立っている皆さんが『海王星をやりきれた』と思える舞台にできたらいいな」と意気込んだ。

猛夫の義母となるはずだった魔子を演じる松雪は、「寺山修司さんのミュージカル界の原点ともなる作品ということで、バディである山田裕貴くんと繊細に集中力を切らさず、愛を表現していきたいなと思っております。今までの寺山修司さんの作品とは違う印象を届けられるよう頑張りたいと思います」とコメント。

猛夫の父・彌平を演じるユースケは、「猛夫の父・彌平役改め、ポニーヤスナガ役のユースケ・サンタマリアです。すみません、書かないでください」と、挨拶でも“ユースケ節”全開。山田が「(架空の舞台)『この子誰の子』の役柄ですか?」と指摘すると、ユースケは「そう、『この子誰の子』の役名。いつの日かこのメンバーでやろう、俺、本書きます」と約束し、笑いが起こった。

ユースケは「眞鍋さんが優しく、親子に演出してくれて、俺、ガミガミ怒る演出家が嫌いなんですよね。(眞鍋さんは)そうじゃなくて、優しくて、何やっても許してくれて。俺が稽古でバカなことをやったら、『それやります?』と優しく、寄り添ってくれる。見事な柔らかい温かい演出術が、僕たちが舞台をやれた要因だと思う」と熱弁。
初日の公演を前にして「俺、舞台の初日のことを覚えていたことないんですよ(笑)。毎回、それくらい緊張するので、頑張ります」と締めくくった。

本作で、音楽監督と生演奏を務める志磨は、「普段やっているロックンロールの世界とは全然違うので、何一つとっても刺激的で、毎日楽しくお稽古もさせていただいてます。普段は作った曲を人に歌っていただくことはないので、すごく光栄で、皆さん歌声が素晴らしいですね」と称賛。
「寺山修司さんのファンなので、寺山修司さんの詩に曲を付けられるなんてことは、考えてもなかった夢のようなことです」と感謝した。

記者から、本を読んだ感想を求められた山田は「本を読んだだけで決めるのはよくないんじゃないかと思って、人物像を稽古場で確かめていく作業が多かったです。演じている間は、一つも集中力を切らさずにいなければいけないと思っているので、感情がフラットでいられるシーンがないんです。常に何かに苦しんで、何かが弊害になっている人物なので…苦しいですよ(笑)」とぽつり。「でも、それがやりがいでもあるので、毎日進化していく作品になると思います」とアピールした。

本作は、出航しない船上ホテルを舞台に繰り広げられる、父と息子と父の婚約者をめぐる、甘く悲しい祝祭劇。魅惑的で怪しい人々の愛と欲望。寺山修司らしい詩的な音律で彩られた言葉。新生PARCO劇場にて待望の上演となる。
音楽劇「海王星」は、12月6日(月)〜30日(木)まで、PARCO劇場にて公演。2022年1月からは、大阪、富山、仙台、青森、名古屋にて上演される。
最新情報は、音楽劇「海王星」公式サイトまで。