小さな命を救え!唯織たち技師の力を借りて、小児心臓カテーテル治療に挑む!
12月6日(月)放送『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第10話
『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第10話完全版
「皆さんの力を借りる時が来ました」。
五十嵐唯織(窪田正孝)たちのもとを訪れた循環器内科医・大森渚(和久井映見)は、胎児の心エコー画像を見せ、協力を求めた。
この胎児は、503号室に入院中の妊婦・池田しずく(伊藤歩)と大地(森田甘路)夫妻の子。「純型肺動脈閉鎖症」を起こして心臓から肺に血液が行かなくなっており、場合によっては生後数日の命だった。しずくは、心臓カテーテルでの治療を望んでおり、そのためには心臓を正確に把握できる画像が必要だというのだ。

するとそこに、副院長・鏑木安富(浅野和之)が現れ、渚をこの患者の担当から外すと告げる。院長・灰島将人(髙嶋政宏)の決定だった。
灰島は、新生児への心臓カテーテル治療は前例がないと言って認めず、外科手術で対処するようすでに指示していた。それでも渚は、諦めようとはせず…。

広瀬裕乃(広瀬アリス)たちは、なぜ渚がカテーテル治療にこだわるのか疑問を抱く。実績のある外科的アプローチのほうが無難な選択肢だからだ。そこで唯織は、循環器内科が専門の渚がワシントンに留学中、小児の心臓カテーテルについて学んでいたことに触れる。唯織が理由を尋ねても、渚は知見を広げたいとしか言わなかったらしい。
一方、甘春杏(本田翼)は、診察に来た郷田一平(工藤阿須加)という男から、眼科はどこかと尋ねられる。その際、一平は、杏の顔を見つめると、どこかで会ったことはないかと言いだす。「甘春だろ?」。一平からそう言われた杏は、一瞬何かを思い出しそうになるが、急いでいるといって立ち去ってしまう。
技師長・小野寺俊夫(遠藤憲一)は、読影室まで資料を届けにいく。杏は不在だったが、彼女がPCで留学生を募集しているピレス教授のチームのサイトを見ていたことに気づく小野寺。そこへ杏が戻ってきた。小野寺がピレス教授のところへ留学したいのか、と尋ねると、杏は仕事を投げ出すわけにはいかないし、英語も苦手だと言ってその場をごまかした。

渚は、担当医が心臓外科の都丸(浜田学)に代わったと聞かされ不安を抱いていたしずくに、追加の検査を告げる。検査の際、「初めての赤ちゃんですもんね。いろいろと不安ですよね」と声をかけ、しずくを励まそうとする裕乃。

ところが、その検査の結果、しずくの子は、食道閉鎖症であることも明らかになる。渚は、治療の方針を決めるための合同カンファレンスを開くことにして、ラジハメンバーにも出席を求めた。
患者の望みに応えることが医師の仕事だいう渚の強い決意を知った黒羽たまき(山口紗弥加)たちは、さっそくカンファレンス用の画像の準備に取り掛かる。
そんな中、鏑木は、渚が以前勤務していた聖鈴ハートセンターから電話をもらう。その報告を受け、すべてを理解した灰島は、渚が勝手に合同カンファレンスを開いていると知り、彼女のもとへと向かった。

実は渚は、聖鈴ハートセンターで働いていた5年前にも、妊娠していたしずくと関わりを持っていた。その子もまた、純型肺動脈閉鎖症を患っており、しずくと大地は、心臓カテーテルの名医である渚を頼って訪ねてきたのだ。
だが、小児の心臓カテーテル治療の経験がなかった渚は、それを断り、代わりに心臓外科医を紹介。生まれた赤ちゃんは、手術も無事成功して助かったと思われたが、すぐに合併症を起こして亡くなっていた。
灰島は、「あなたはそのときの無念を、今晴らしたいだけなんじゃないですか?」と渚に言い放つと、改めて前例のない心臓カテーテル治療は許可しない、と釘をさす。

ところがその最中、思わぬ事態が起きる。しずくが破水し、緊急オペを行うことになったのだ。手術は成功し、無事生まれた赤ちゃんは、食道閉鎖症の治療も終えて容体は安定。都丸は、体力が回復次第、心臓の手術を行うとしずくに告げる。だがしずくは、合併症のリスクを恐れ、納得できずにいた。
唯織は鏑木を訪ね、しずくの治療方針についての意見を求めた。合同カンファレンスの際、灰島と一緒に乗り込んできた鏑木が、スクリーンに映し出されていたエコー画像を見つめていたことに気づいたからだった。しかし鏑木は、副院長としての業務があり、1人の患者だけに向き合っている時間はない、といって唯織を追い返してしまう。

しずくに無神経なことを言ってしまったと落ち込んでいた裕乃や、渚の思いを知る杏は、どうすることもできない状況に無力感を味わう。それは、ラジハメンバーも同じだった。
唯織は、そんな杏たちに、どのような治療方法も最初は前例がない、と告げると、1人の患者を救えなかったことを深く後悔し、同じ思いを誰にもさせないためにワシントンにまで渡って学んだ渚のことを、同じ医療従事者として誇りに思う、と続けた。「だから少しでも、力になりたいんです」。たまきたちも、唯織の言葉に同意するが…。

そんな中、しずくの赤ちゃんがチアノーゼを起こす。動脈管が閉じてきて血液が肺に回らなくなっていることが原因だった。が、体力が落ちているため、手術をためらう都丸。そこで渚は、自分に心臓カテーテル治療をやらせてほしいと申し出る。鏑木は当然反対し、都丸に外科手術を指示した。
そこにやってきた唯織は、渚が正確に治療できるように、治療と同時にエコー検査を行い、リアルタイムで鮮明な画像を映し出せば成功率は格段に上がる、と提案する。やってきた灰島は、それも却下し、外科手術の準備をするよう都丸に命じた。
だが、鏑木は放射線科医の目で判断し、唯織が提案した心臓カテーテル治療を支持する。
杏や鏑木、ラジハメンバーたちの見守る中、渚は、心臓カテーテル治療に臨んだ。サポートを務めるのは、唯織と悠木倫(矢野聖人)。渚は、唯織たちが映し出したリアルタイムのエコー画像や、鏑木からのアドバイスを受けながら慎重に作業を進め、閉鎖していた肺動脈弁にワイヤーを穿通させる。治療は成功だった。

しずくの赤ちゃんは、NICUの保育器の中で眠っていた。見守っていた渚は、改めて鏑木に礼を言った。すると鏑木は、患者の容態や担当医、サポートする技師のことを考慮して、一番成功率の高い方法を選んだまでだと返すと、赤ちゃんに手を伸ばした。すると赤ちゃんは、鏑木の指をぎゅっと掴み…。

作業を終え、渚からもらった七味を振りかけたお茶で技師たち。その七味を見ていた唯織は、ふいに何かを思いつき、席を立つ。
別の日、しずくと大地は、渚とともに赤ちゃんと対面する。しかし、複雑な表情を浮かべ、うつむくしずく。赤ちゃんが助かったのはうれしいが、5年前に亡くなった子のことを思うと素直に喜んでいいのかわからないのだという。
そこにやってきた唯織は、しずくに手作りの虹のステッカーを手渡す。アメリカでは、早くに亡くなってしまった赤ちゃんの後に生まれた子のことを「レインボー・ベビー」と呼ぶのだ。悲しみの中にいる両親のもとへ来てくれた赤ちゃんは、雨上がりの虹のように、希望を与えてくれる存在、という意味が込められていた。その話を聞き、しずくは初めてホッとしたような笑顔を浮かべる。
それからしばらくして、しずくたちが退院する。しずくは、5年前に渚を訪ねたことは間違っていなかった、と感謝の気持ちを伝えた。渚は、そんなしずくに、たくさん泣いた分、これからはたくさん笑ってね、と言って一家を見送った。
赤ちゃんをあやしながらバスを待っていたしずくたちに、1人の妊婦が話しかけてくる。レインボー・ベビーのステッカーに気づいたその妊婦は、「実はこの子も…」といってお腹に触れた。
杏のもとへやってきた鏑木は、留学の話を切り出す。小野寺から話を聞いたのだという。そこで鏑木は、もし杏が本気で留学を考えているのなら、その間、自分が放射線科医として現場に戻ってもいい、と告げ…。
唯織は、神経内科を受診するためにやってきた一平と出会う。その際、唯織がかつて「肉まん」と呼ばれていた同級生であることに気づく一平。するとそこに杏が通りがかった。唯織との過去の記憶を失っていた杏は、唯織が同じ小学校の同級生だったという一平の言葉を聞き、記憶を思い起こそうとする。

だが、杏の記憶がよみがえるかと思われたその時、一平は突然意識を失って倒れてしまい……。

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