『ミステリと言う勿れ』ダジャレ好き担当者が語る番組グッズ制作の裏側!ポイントは「世界観をどれだけ出せるか」
「どうしてもラーメンが作りたい!」その思いが形になった「社員食堂ラーメン」
──過去に担当したものの中で、思い入れのあるグッズを教えてください!
思い入れのあるものは「社員食堂ラーメン」(袋麺)です。先ほどからライツ事業戦略部に来てやりたかったことをたくさん挙げていますが(笑)、私、どうしてもラーメンを作りたくて。製造ロットや期間の問題で、担当した番組での商品化は難しかったものの、何かのタイミングで作れないかと探っていたときに、上司から「お台場の名物となり、そして期間も長く販売できる商品化を考えてほしい」と言われて、真っ先にラーメンが浮かびました。
何をラーメンと結びつけるか考えたときに、社員食堂がいいのではないかというアイデアが浮かんで、はじめに「醤油ラーメン」を作って販売しました。そうしたら、すごく好評だったんです。そこから「塩ラーメン」、「カレー」、「ミートソース」と社員食堂シリーズを広げていきました。
実際に社員食堂に並んだものでないと、“社員食堂”というネーミングにできないと思い、社員食堂に「このスープとこの麺でラーメンを出してください!」というお願いもしました(笑)。

──なぜ、そんなに「ラーメンが作りたい」と思っていたのでしょうか?
ただただ、私がラーメン好きなだけです。「この番組でグッズを作ってください」と言われたら、まず「ラーメンかな」と考えてしまうくらい。コラボカフェも大好きで、何かとカフェや食堂の展開を企画しています。
食品系で初めて飲食展開をしたのは、『北の国から』が35周年のときに作った「子どもがまだ食ってる途中でしょうがラーメン」ですね。これは言わずもがなですが、『北の国から’84 夏』の劇中で黒板五郎(田中邦衛)が子どもたちと中華店を訪れた際に「子どもがまだ食ってる途中でしょうが」と放った名シーンに登場するラーメンを再現したもの。
ラーメンつながりで言うと、フジテレビには系列局が27局あるので、27種類のラーメンを作り販売したこともあります。
──コラボカフェの話題が出ましたが、担当した中で思い出に残っていることはありますか?
コラボカフェもライツ事業戦略部でやりたかったことの一つでした。初めてコラボカフェを展開したのは、『モトカレマニア』のとき。この作品は“元カレ”“元カノ”がキーワードだったので、「元カレということは、“カレー”だな」と思って、「あま~い思い出モトカレー」と「ドライな関係イマカレー」を提案して。他にも、劇中に「逃した魚は巨大マグロ並みにデカかった」というセリフもでてきたので、そこに結びつくように、巨大フランスパンにマグロカツが刺さった「逃した魚は巨大マグロカツサンド」も提案しましたね。
食べ物がメインで出てくるドラマではなかったのですが、カレーのルーをピンクにしてもらったり、ご飯をハート型にしてもらったりなど、セリフやイメージをメニューに取り入れるようにして、視聴者の皆さんに楽しんでいただけるような工夫をしました。

(放送時、フジテレビ本社のシアターモールにあるUFOキャッチャーでゲットすることができた)
──カフェの展開におけるこだわりは、まさにその「視聴者に楽しんでもらえるように」というところでしょうか?
そうですね。作品の世界観をどれだけ出せるかということは大切にしています。食品にまつわるドラマであれば、劇中に出てきたものを再現して出すことができるのですが、そうではない作品は店舗の雰囲気やメニューで世界観を表現しなければなりません。ネーミングも含めて、ドラマを見ていたら「一度は行ってみたい」と思ってもらえるようなメニューを考えるようにしています。
「視聴者のリアルな反応を見ると、大変さを忘れる」
──土出さんがライツ事業戦略部での仕事にたどり着いた経緯を教えてください。
もともとはゲーム会社で働いていたのですが、メディアの業界に興味があったのでフジテレビに入社し、最初は情報制作局にいました。そのうち番組制作がやりたいと思うようになり、フジテレビを離れてバラエティ制作会社でAP(アシスタントプロデューサー)を経験。その後、ご縁があってフジテレビのライツ事業戦略部で働くことになりました。
ライツ事業戦略部に来た当初は、フジテレビアナウンストレーニング講座「アナトレ」を担当していて、その頃にMDの仕事をしている同僚を見ていて「面白そうだな」と興味を持ち始めました。
当時の部長に声をかけてもらい、MDの仕事をするようになったのですが、『めざましテレビ』やドラマ作品の商品化を担当するかたわら、今はフジテレビ本社7階にあるショップ「フジさん」の店舗プロデュースなども担当しています。
──仕事のやりがいを感じる瞬間は、どんなときですか?
最終的にアイデアが形になったとき…『ミステリと言う勿れ』で言うと、サンリオとのコラボ情報が発表されて、翌日から一部商品を販売したのですが、すぐ完売した商品があったんです。そういう反響を見ると、やりがいを感じます。
今回は特に、今までにやったことのないミスタードーナツとのタイアップや、一つの作品で7都市のHMVでコラボ展開をしたり、有楽町マルイで「放送記念!TVドラマ『ミステリと言う勿れ』POP UP展」を開催したり、次から次に挑戦することができていますし、「どんどん新しいことをやっていきたい」という性格の私にとっては、とても楽しい環境です。
いろいろと準備しているときが一番“仕事をしている感”があって、大変ですけど楽しいなと思いながらやっています。

──この仕事をしていないと出会えなかったと思うコト・モノはありますか?
どの現場に行っても、いいスタッフさんに囲まれて、人に恵まれているなというのは実感しています。
この部署は多岐に渡る分野を担当しているので、テレビ局ならではの番組の制作陣や芸能事務所の方々とも繋がることができるし、グッズ制作という部分では、メーカーの方や私たちが普段から利用するような店舗の方々とも顔を合わせることもあって。コラボカフェであれば、実際に自分が行ってみたいと思っていたカフェに企画を持ち込むこともあるので、仕事をしているなかでたくさんの出会いがあります。
『レンアイ漫画家』のコラボカフェは、劇中にカフェとスイーツが出てくることもあり、以前からSNSで見ていて気になっていた恵比寿のカフェに「スイーツコラボができないか」と交渉して、実現しました。普段思っていたことが、急に結びつき、それがビジネスになることがよくあります。

──MDの仕事をするうえで意識していることや、心がけていることはありますか?
普段の何気ない買い物でも、可愛いものや欲しいものを見つけると、まずどこが作っているのか、メーカーを自然と見るようになりました。自分が担当する番組で作りたいと思っていたグッズと近しいものであれば、そのメーカーさんに話をしてみたり、普段お世話になっているメーカーさんに「こういうものは作れませんか?」と相談して、作ってもらったりすることもあります。
──今までに一番大変だったこと、苦労したことは?
なんだろう…。作っているときはすごく大変だと思うんですけど…忘れちゃうんですよ(笑)。でも、グッズを作ることで大変だと思ったことは、あまりないかもしれないです。楽しく作っているので。
今回の『ミステリと言う勿れ』の整とシナモンとのコラボグッズは、髪型の細かい部分の調整を何度もやりとりしました。形あるものは色味なども思い通りにできなくて苦労するところもあります。だけど、私たちはフジテレビショップやイベントなどでお客さんと向き合う場面が多く、実際に視聴者のリアルな反応を見ると、大変さを忘れることができます。
──では、最後に今後『ミステリと言う勿れ』を盛り上げていくために予定している展開を教えてください。
さまざまなラインナップを準備しているので、まだ商品が出てきます。サンリオコラボのHMV限定の商品は、数に限りがあるので、完売してくれればいいなと願っています。
1月14日(金)からスタートする有楽町マルイの「放送記念!TVドラマ『ミステリと言う勿れ』POP UP展」では、衣装や小物展示やコラボグッズの販売、整モデルのマフラーもお披露目されます。劇中に出てくる“整っぽい”マフラーの色味にこだわって作ったマフラーなので、受注生産ではありますが、お手に取っていただけたらうれしいです。
さらに、ダイソーでもサンリオコラボのコーナーが展開されます。グッズが店頭に並ぶので、ぜひ楽しみにしていてください。

ドラマ『ミステリと言う勿れ』のオフィシャルグッズは、フジテレビe!ショップなどで販売中。