『アフリカの夜』は「人生を見つめ直すきっかけになるかも」<信子と庸平>の本音対談【春ドラマ編】
女・野島伸司=渡辺千穂脚本のドロドロドラマは9話の仕掛けが絶妙!
――今回「春にオススメのドラマ」を挙げていただいた中に『名前をなくした女神』(11年)が入ったのが意外でした。

信子:壮絶なママ友の世界を描いた話題作だけど、庸平さんが惹かれた理由を聞きたいわ。
庸平:視聴者が思わず釣られるフックを散りばめて、みんなを少し不快にして引き込んでいく“釣りドラマ”なんだけど、ものすごく丁寧に作られているんですよね。視聴率も最初9%台だったのが、どんどん話題を集めて最終的には15%台まで伸びて。脚本の渡辺千穂さんは、『泣かないと決めた日』(10年)でOLのいじめドラマを書いているんですけど、僕は渡辺さんは“女・野島伸司”だと思っていて。
信子:『泣かない〜』で榮倉奈々さんをいじめる役だった杏さんがヒロインですけど、主役感のないキャラクターじゃなかった?
庸平:元気っ子が反感を買うみたいな部分もあるし、主人公が実はママ友たちを裏切ってるんじゃないか、という読み方もできたりして、そういう部分も楽しめました。
信子:女性なら誰かに感情移入しながら見ちゃうけど、庸平さんみたいにちょっと他人の家を覗いている気分で俯瞰した視点からも楽しめるんですよね。
庸平:僕が特に好きだったのは、ドラマの最初に毎回出るサブタイトルが、9話だけラストに出るんです。そのサブタイトルの出し方が衝撃的で、気が利いているな〜って思わず唸っちゃったくらい。
作品を企画した太田大さんにインタビューする機会があったとき、その話をしたら、太田さんも9話の編集が一番おもしろかった、とおっしゃっていました。
信子:へえ~、それは気づきませんでした。
庸平:悪意を凝縮したような作品だから、嫌いな人は嫌いだと思うんだけど、エンターテインメントとしてはとてもよくできている。本当に9話はゾクゾクするから、信子さんも是非確認してください!
信子:この作品、韓国でもリメイクされて、ヒットしていましたよね。庸平さんが“女・野島伸司”と呼んでいる渡辺千穂さんは、『ファースト・クラス』(14年)でも女のドロドロ系を書いていますね。
庸平:ドロドロ系が得意な人なんだから、『べっぴんさん』(NHK/16年~17年)みたいなほのぼの系もいいですけど、もっと“女・野島伸司”感を出して欲しい!きっと『ファースト・クラス』は、今リメイクしても絶対流行ると思います。
信子:今回、春ドラマのリストを見ていたら、他にも「時代を先取りしすぎちゃったんじゃないか?」っていう作品が多かった気がします。
庸平:天海祐希さん主演の『カエルの王女さま』(12年)とかね。タイトルはともかく、本当によくできたミュージカルなんですけど…。「アナと雪の女王」(14年)の後に放送していたら、人気が出たかもしれません。
――最後に、今回セレクトした5本から、ベスト・オブ「春にオススメ」を選ぶとしたら?
信子:やっぱり『ロングバケーション』かしら?
庸平:『ひとつ屋根の下』も、タイトルバックに桜が出てきたりするから推したいけど、『ロンバケ』には勝てないですよね。
信子:暗い話が一切なくて、春らしい!今のキャストでリメイクするとしたら…って考えるのも楽しいけど、正直、オリジナルを超えるキャスティングはないと思うくらい完璧な作品です。
庸平:確かに!食わず嫌いしている人にこそ、これを機に見てもらえたらうれしいです!