視聴者の思いも加え成り立つ作品!意図しないところで物語が自然に生まれてる
1月23日(木)放送『アライブ がん専門医のカルテ』第3話
なんなん、このドラマ!
いや、もう、なんなんこのドラマ。激おこですよ。激おこだから、もう一回言いますね。なんなんこのドラマ!!
もう目が真っ赤っかですよ。独身、30代半ばのおっさんが、木曜よる10時48分ごろ、ひとりで嗚咽漏らしてるんですからね。気持ち悪いですよ。挙句に次回予告のラストカットで「やめてーーー!」ってティッシュくわえながら泣き叫ぶんですよ?
もうね、京ちゃん(北大路欣也)と漣くん(桑名愛斗)がパパ(中村俊介)の病室に来て、心先生(松下奈緒)が「パパは、もう少しで天国に行くんだよ」って言ったその瞬間から涙腺緩んでるのに、病室の片づけとパパとの思い出をカットバックさせる演出を持って来るだなんて、泣くに決まってるじゃん。
しかもその思い出が、パパとの楽しかった思い出じゃなくて、つらい時の思い出で、すごく些細で何気ない出来事を振り返るんだもん。そら泣くって。卑怯ですよ。加えてそのシーンにあの英詞のサウンドトラックをかけるんですよ?どんだけ泣かすの。
そして泣き崩れる心先生に対して薫先生(木村佳乃)が聞こえない声で「ごめんなさい…」で終わって、次週予告に京ちゃんが…って、畳みかけが卑怯すぎる!だから、悲しいとか、ツラいとかじゃなくて、そういう感情はもうとっくに通り過ぎてて、なんでかわかんないけど激おこ。情緒不安定になっちゃってますよ、僕。
ここまで感情がかき乱されるのは、まだ第3話だっていうのに、心先生にも薫先生にもどっぷり感情移入しまくってるからなんですよね。さっきの文面で、“京ちゃん”とか“パパ”って書いちゃうくらい、恩田家の一員のように感情移入しまくってるんです。だから今回描かれた“緩和治療”のエピソードは、心先生の境遇と重なりまくってグサグサくるし、それだけじゃなく薫先生についても心先生が何気なく言った「いつも辛い時には薫先生がいてくれる…」というセリフが薫先生にも自分にも跳ね返ってきて、グッサグッサ刺さるんですよ。
全シーンの全セリフが誰かの感情につき刺さるような構造になってるから、共感している視聴者は全員分のが突き刺さるんですよ。特にクリティカルヒットだったのは、前半の自転車を押しながら心先生と漣君が帰宅するシーン。パパが元気になるのかを心配する息子に「神様にしかわからない」って言うんですよ?ドクターが主役の医療ドラマなのに。もう刺さりまくって、僕の心はズタボロですよ。
1話と2話で、結構ツライ描写があるのに“癒される”とか言ってましたけど、それは今回の振りだったんですね。もう泣くわ叫ぶわ怒るわで、すっごい疲れた。3回見返して、3回おんなじところで情緒不安定になるんだから自業自得の疲れなんですけど、それくらい見応えがあったってことなんです。
このドラマは俳優さんや脚本、演出、音楽とか、そういうクリエイティブな部分で成立しているだけじゃなく、そこを越えた視聴者の思い入れも加味されて成り立つ作品になっちゃってますね。制作者が意図しないところで物語が自然に生まれてる…。そんな感じ。少なくとも僕の中では。
そうだ!情緒不安定になってるうちに忘れてたけど、今回登場した三浦翔平さん演じる“謎の男”、あんたなんなん?誰かを不幸にしたりすんじゃないよ!?怒るからね!?
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)
第3話のあらすじ完全版はこちらから