【ささえびと】藤井隆「『アイム ムードメーカー!』なんて、まったく思っていません(笑)」
毎週木曜22時〜『アライブ がん専門医のカルテ』
いつ、どんな時代でも、私たちに夢、ときめき、感動、笑いといったカラフルな感情をもたらしてくれるテレビドラマ。その世界の中で、時に主人公を支え、時に物語に彩りを与えるのがバイプレイヤーだ。彼らの存在はキャストを輝かせ、物語のスパイスとなり、見るものをより楽しませる。
そんなドラマに不可欠なバイプレイヤーへのインタビュー企画 『支人【ささえびと】~人を輝かせる達人』。
今回は、現在放送中の木曜劇場『アライブ がん専門医のカルテ』(毎週木曜22時)で腫瘍内科医の光野を演じている藤井隆をフィーチャー。
光野は、主人公の心(松下奈緒)の同僚であり、穏やかな人柄が患者にも人気の医師で、病院内や腫瘍内科を明るく、力強く支えている。その光野を演じるうえで藤井が心がけていること、支え甲斐のある「カッコいいな」と思う共演者についてなど、たっぷり語ってもらった。

「ホッとさせますよ!」と意識して演じなくてもスタッフさんがメリハリをつけてくれる

――物語は中盤。ここまで撮影を重ねてきた現場の雰囲気はいかがですか?
本当に穏やかですし、(木村)佳乃さんが常に明るくいてくださって、その佳乃さんを優しく見守っている松下(奈緒)さんがいて。スタッフさんも皆さん優しい方ばかりですし、楽しいですよ。
――先ほど現場を拝見しましたが、お菓子を包みごと口に入れてみるなど、アドリブを入れたりしていて、楽しそうでしたね。
あれは、放送では絶対に使われない、本筋に関係のないカットなので、アドリブでもなんでもないんですよ(笑)。
――スタッフさんも笑いをこらえるのに必死で、藤井さんが現場のムードメーカーのように見えました。
いやいや、そんなことないです!見守ってくれる松下さんがいるからできることです。

――藤井さん演じている光野守男という役は、改めてどんな役柄でしょうか。
撮影が始まる前に光野の役割を聞いていたので、「こんな感じかな?」と想像をしていたのですが、実際にオンエアを見てからは思っていたものといい意味で誤差がありましたね。
誤差というのは…衣装合わせの時に監督とお話させていただいて、「阿久津部長(木下ほうか)と2人のシーンは、ホッとする場面です」と聞いていたんです。でも、実際にフタを開けてみたら、わざわざ意識して「ホッとさせますよ!」と見せる必要はなかったなと思いました。
僕が緩急をつけようとしなくても、物語の前面に心先生の気持ちの流れがありますし、スタッフの皆さんがメリハリをつけた撮影や編集をしてくださるので、僕は特別に意識しなくていいんだな、と(笑)。
要は、最初にあった「光野守男、家族がたくさんいて、阿久津部長とはホッとするやりとりも」という紹介に関しては、あまり意識して演じていないです。「アイム ムードメーカー!」なんて、まったく思っていません(笑)。

“イクメン”と自分では言えない。きっと奥さんは大変な思いをしていて、僕はおいしいとこどりしてるだけ

――光野は“イクメン医師”で、家族を想うセリフや患者への思いやりなど、とても説得力があるなと感じています。役づくりで意識したことはありますか?
衣装さんが用意してくれた衣装、美術さんが作ってくれたセット、脚本家さんが用意してくださったセリフ、そのすべてから影響を受けて役が作られている気がします。
光野は、「もともと麻酔科にいたけど、子育てと家族との時間を優先するために定時勤務ができる腫瘍内科に転科してきた」という設定があります。光野のデスクパソコン用に、スタッフさんが5人の子供が映った壁紙を作ってくださったんですよ。そういった一つ一つの要素から受ける影響が、役を作っていってくれているのかなと思います。
――勝手かもしれませんが、藤井さん自身が“イクメン”で、ご家族を大事にされているイメージなので、それが役づくりに生かされているのかなと思っていました…。
フジテレビュー!!さんの意見として書いていただく分には何も問題ないんですが…自分で「僕はイクメンです」なんて言えないですよ(笑)。きっと、妻は大変な思いをしていて、僕はおいしいとこどりしかしていないと思いますし。
母親の個としての存在はやっぱり大きいんです。父親は、周りや子供から「お父さん」と呼ばれて父親であることを自覚していくわけですけど、母親は子供がお腹の中にいる時からそれが始まっていますから。スタートが全然違うので、イクメンなんて恥ずかしくて言えないです。

――確かに、自分発信でイクメンとは言いづらいかもしれませんが、光野と共通する点も多いのではないですか?
もちろん実体験から何かを想像していくこともありますが…ドラマは、「初めまして」から始まり、「同僚ですよ」「家族ですよ」と急に言われて「はい、スタート」で撮影が始まっていくわけですよね。それを支えてくれるのは、やっぱり美術とか、メイクとか、衣装とか、自分の体の近いところを作ってくれている方々。スタッフの皆さんのほうが、僕の役のことを考えてくださっているのかなと思うんですよね。まあ、「もっとお前、考えろよ」と思われているかもしれないですけど(笑)。
あとは、何度も言いますが、本当にセットがリアルで、お医者さんの気持ちにさせてくれるんですよ。処置室に急患が運ばれてくるシーンでは、本物の病院のようでした。フジテレビの医療ドラマはすごいな、いいなと噛みしめている最中です。そういう場所を用意していただけているので、自分の頭で考えるよりも実際の現場でいい役作りができていますね。
人としての理想像は“明るく元気な”吉本の先輩方

――共演者の中で「あの人カッコいいな」と思う方はいますか?
結城先生を演じている清原(翔)さんですね。ルックスがカッコいいというのは当たり前ですけど、若いお医者さんをリアルに体現されています。クールな役柄なので、言葉を発するよりも目でお芝居をすることが多いのですが、そのあたりもとても繊細に表現されていて、つい結城先生を見てしまいます。2話で結城先生の抱えている苦悩が描かれたシーンも、すごくグッときましたね。
――主人公の心たちを優しく支えている、人としてカッコいい光野を演じられていますが、「こんな人になりたい」という理想の男性像はありますか?
僕、健康で元気で明るい方ってすごく好きなんです。弊社、吉本興業には明るくて元気な先輩方が男女問わず多くいます。今は“お笑い第7世代”と呼ばれる若い方が大活躍していますが、そんな中、長く現役で活躍されている大ベテランの先輩方もいらっしゃって。「いつまでお元気なんですか(笑)?」みたいな声もありますけど、個人的には、皆さんお元気で長生きしてほしいですね。
ナイーブなカッコよさもあると思いますけど、それよりも明るさでサバイブしている方のほうが、僕はやっぱり好きだなと思います。自分も年を重ねた時にそんな先輩方のような人になりたいですね。

――最後に視聴者に向けてメッセージをお願いします。
僕、腫瘍内科のメンバーは家族というか兄弟のように思っています。長男の阿久津部長、次男の光野、長女の心先生、三男坊の結城先生、末っ子の夏樹先生(岡崎紗絵)。そんな兄弟が手を取り合って目の前で起こり続ける課題をなんとか乗り越えられるように、なんとか解決できるように頑張っています。
木曜日の夜…だいたいの方は週末に向かって、疲れもピークかもしれませんが、清原さんや須藤役の田辺(誠一)さんが、うっとりさせてくれる瞬間もあるはずです!そちらを見つつ(笑)、腫瘍内科の兄弟たちの頑張りを応援していただけたらうれしいです。