猟奇殺人の犯人は天才高校生!!愛が生んだ完全犯罪の行方 『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』第6話完全版
2月10日(月)放送『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』
井沢(沢村一樹)は、香坂(水野美紀)に命じられて訪れた心療内科で、スポーツカメラマンの篠田(高杉真宙)に出会った。篠田は、時々カウンセリングを受けに来ているのだという。そこで篠田は、罪を犯せば誰かが傷つくとわかっていながら、人は何故罪を犯すのか、と井沢に問いかけた。それに対して井沢は、犯罪がなくなることはないがそうなることを願っている、と答え……。

あくる日、吉岡(森永悠希)は、ミハンルームにやってきた井沢に、捜査から外れたい、と申し出る。休みが欲しいのだという。するとそこに、香坂が、曽根崎(浜田学)や早川(マギー)、門田(粗品)を連れてやってくる。曽根崎は、生放送のワイドショー番組をモニターに映すよう指示した。そこで放送されていたのは、進学校のエリート高校生が26歳の主婦・松永由貴(足立梨花)を殺害し、遺体をバラバラにして処分したという衝撃的な事件だった。
何故この事件を未然に防ぐことができなかったのか、と切り出す曽根崎。事件を起こした17歳の少年・浅井航(清水尋也)は、猟奇犯罪に関して調べていた履歴があり、ホームセンターで複数の刃物を購入していたにもかかわらず、ミハンに探知されていなかった。曽根崎は、ミハンが捜査員からのフィードバックで学習することに触れ、問題解決には人員の見直しが必要だ、とリーダーである井沢の責任を追求する姿勢を見せる。


曽根崎たちが去った後、香坂は、今回の事件をミハンで調べ直すと告げる。ミハンが初めて挑む、“起きてしまった”事件の捜査。井沢は吉岡とともに精神科医に扮して航と面会する。
航は、3年前に病気で母親を失い、高校入学と同時に父親のもとを離れてひとり暮らしを始めていた。航は、まずその話から始めた井沢の言葉を遮ると、「そんな鑑定で僕の心が見えるんですか?」と挑発的な態度を見せた。さらに動機を問われると、人を殺してみたかった、と返す。航は、由貴の遺体を処理する際、血痕を消すなど完全に証拠隠滅をし、偽装工作を図ったものの、決定的な証拠となった由貴が航のマンションに入っていく際の防犯カメラ映像ににはまるで注意を払っていなかった。
一方、山内(横山裕)は、小田切(本田翼)とともに航が通う高校を訪れた。そこで生徒たちから話を聞いた山内たちは、スマートフォンの地図アプリを見ていた航が、死に場所を探している、と言ってたという情報を得る。航が見ていたのは新宿西口にある雑居ビルの屋上だった。

井沢たちは、航は自殺を考えていたのではないか、と推測する。では、何故偽装工作をする必要があったのか。井沢は、もう少し航から話を聞く必要がある、という。だが吉岡は、これ以上捜査する意味があるのか、と反論する。殺しに満足し後悔もしていない航は、性的サディストだというのだ。続けて吉岡は、気持ちが続かないからミハンから外れたい、と言って退席してしまう。
井沢は、吉岡の申し出を受け入れ、最後の仕事として彼と一緒に航に会いに行く。そこで井沢は、自殺を考えていたのに何故殺人を犯したのか、と問いかけた。すると航は、死ぬ前に人を殺してみたいという夢を叶えてみたかったと答えた。偽装工作したのも、欲が出てもっと殺してみたいと思ったからなのだという。そんな航の言葉に苛立ち、人の命を何だと思っているのか、と声を荒げる吉岡。最後に井沢は、何故死にたいと思ったのか、と尋ねた。井沢は、家族のことを切り出そうとすると言葉を遮る航の態度から、原因がそこにあることを感じとっていた。
同じころ、山内と小田切は、航がスマホで見ていたビルの屋上を訪れる。向かいのビルの屋上に喫煙スペースがあることに気づいた山内は、そこで航に関する情報を得た。航は、度々ビルの屋上を訪れており、しかも女性と一緒だったらしい。その女性は、殺された由貴に似ているという。しかも、ふたりが来るのは決まって月曜日だった。

香坂は、専業主婦だった由貴が、毎週月曜日、料理学校に通っていたことを掴む。しかし、航と由貴の間には連絡を取っていた痕跡がないことから、ふたりはビルの屋上だけで会っていたのだ。
航の家族について聞きこみをした井沢は、彼の母親の体にアザがあったのを見たという証言を得る。航の母親は、夫からDVを受けていたのだ。
加賀美(柄本明)とともに由貴の夫・直哉(川島潤也)に会いに行った井沢は、由貴が何かに悩んでいなかったか、と尋ねた。すると直哉は、子どもを産んで優しい母親になることが夢だった由貴は、先月妊娠していることがわかったばかりで思い悩むようなことはないはずだと言う。
その際、井沢は、直哉が壁にかけてあった絵に一瞬目をやったのを見逃さなかった。直哉が会社からの電話で席を外した際に絵の裏側を見てみると、壁には大きな穴が開いていた。実は由貴は、一度だけ病院に緊急搬送されていた。自宅の階段から転落したことになっていたが、航の母親と同じように、DV被害に遭っている可能性が高かった。

ほどなく、航は生活圏内ではない雑居ビルを訪れていたことが明らかになる。そこには、偽の身分証などを作る偽造屋があった。
そのころ山内は、ある病院を訪れていた。そこは、吉岡の弟・健斗(高村佳偉人)が入院している病院だった。山内に会った吉岡は、神経芽腫に侵された健斗の容態が悪化していることを告白し、自分にできるのは、少しでも傍にいてやることと、最後の瞬間まで大丈夫だと嘘をつき通すことだと告げる。吉岡の話を聞いていた山内は、航も大切な人のために嘘をついていたことを教えた。
航に会いに行った井沢は、これまでの捜査でたどり着いたこと――死のうとしていたビルの屋上で偶然由貴と出会ったこと、由貴が夫からDVを受けていると知ったことを。航は動揺し、何が言いたいのかと声を荒げた。そこにやってきた吉岡は、嘘をつくなら徹底的に演じないと、と航に告げた。
航は、由貴を殺したように見せかけ、新しい人生を歩み出せるように今回の事件を考えたのだ。その提案を聞いた由貴は、上手くいっても航が捕まってしまうことを心配した。すると航は、由貴に出会って生きたいと思ったのだからそれでいいと答えていた。あなたに会っていなければ僕は死んでいた、と――。

航は、由貴の死を偽装し、偽造屋で手に入れた偽のパスポートとクレジットカードを使って彼女を海外に逃がそうとしていた。17歳の航は、逮捕され、精神疾患の診断が下れば医療少年院に入ることになるが、元々疾患などはないため、数年で出られることまで考えていた。
そのとき、吉岡のもとに門田から電話が入る。門田は、直哉に会ってDVのことを問い詰めたのだという。そこで門田は、由貴の潜伏先に関して掴んでいることを教えてほしいと吉岡に懇願した。仕方なく、潜伏先の候補リストを送る吉岡。ところがその直後、門田は直哉に襲われて倒れ、潜伏先情報を奪われてしまう。

するとミハンが直哉を危険人物としてリストアップした。井沢は、由貴に危険が迫っていることを航に告げ、彼女の潜伏先を聞き出す。
あるホテルに向かった直哉は、フロントで由貴の写真を見せ、妻が命を狙われているといって部屋番号を聞き出す。清掃員のワゴンから合鍵を盗んで室内に入った直哉は、背を向けて座り込んでいた由貴を襲った。が、それは由貴に扮した吉岡だった。吉岡は、何度も直哉の攻撃を受けたが必死に食らいつき、清掃員に扮していた小田切とともに直哉の身柄を確保する。


井沢たちは、航と由貴を合わせた。その後、これからのことはふたりで話し合うよう告げると、航は、自分の一方的な思いなのだからこれからはない、という。航から「それよりもあなたたちは何者なんですか?」と問われた井沢は、精神科医だと返す。航は、「嘘つき」と言って初めて笑顔を見せた。
山内は、吉岡に会うために病院を訪れる。吉岡は買い物に行っており席を外していた。応対した健斗は、刑事になりたかった自分の夢を代わりにかなえてくれた兄のことを心配していた。健斗は、病気のことで吉岡が「大丈夫だ」と嘘をついていることも見破っていた。山内は、そんな健斗に、吉岡はチームに欠かせない存在だと伝え、部屋を出た。すると外で話をふたりの聞いていた吉岡が号泣していた。

事件解決を受け、香坂は行きつけの居酒屋を訪れていた。そこにやってきた井沢は、吉岡がミハンで研修を続けたいと人事に申し出たことを報告する。香坂は、良いチームになったが問題は……といって、井沢の心療内科の診断書を取り出す。それを見て「アウトでしょ。でも、僕が必要だと思っている」と香坂に告げる井沢。「否定はしません」。香坂は、そう言って封筒をしまった。

小田切は篠田とデートしていた。その帰り道、篠田は、小田切に交際を申し込んだ。小田切は突然のことに驚きながらも笑顔を見せ……。

篠田は、自分が撮影した小田切の写真をプリントしていた。そこで篠田は、3枚の写真のいずれにも、同じ不審な男が映り込んでいることに気づく。
34日後。ミハンルームにいた小田切のもとに、篠田から電話が入る。苦しそうな声で、伝えたいことがあると告げる篠田。篠田を探した小田切は、腹から血を流して倒れている彼の姿を発見し……。