【眼福♡男子】Vol.14 上杉柊平「子どものような大人でいることが人生の目標」
映画「サヨナラまでの30分」や、Netflixの蜷川実花監督作『Followers』など、話題作への出演が続く上杉柊平。
さらに、北見俊哉役で出演しているフジテレビ系ドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(毎週月曜21時〜)では、主人公らが所属する未然犯罪捜査班、通称“ミハン”チームにとって、敵か味方か分からない謎の存在として独特の空気を醸し出している。
上杉がどんな思いで“演じること”に向き合い、そして、どんなプライベートを過ごしているのか。27歳の素顔に迫った。
北村匠海くんとの出会いは2019年の大きな財産です

――現在、「サヨナラまでの30分」が公開中ですね。
去年の夏に1ヵ月かけて撮影した作品なんですが、僕らキャストにとっては撮り終えるまでが自分たちの仕事。クランクアップを迎えた瞬間に「これで戦える!」と自信を持てたので、多くの方に観ていただけていることがとてもうれしいです。
――作品の目玉は、上杉さん演じる重田のドラム演奏でしょうか?
いやいや、最大の目玉は(新田真剣佑とともに主演を務める)北村匠海くんですよ!匠海の声と、難役を見事に演じきったあの姿。役柄のイメージを100%以上表現していたと思うし、声にも惹かれたし、「スゴい俳優だな」って改めて感じました。

――北村さんとは撮影を通じて、かなり仲良くなったそうですね。
昨日も「何やってるの?」って電話がきました(笑)。初めて会った時から匠海は僕がやってる音楽(ヒップホップユニット・KANDYTOWNのMCとしても活動中)についてよく知ってて、「めっちゃ聴いてます」って伝えてくれたんです。
匠海は、音楽でも役者としてもメジャーな仕事をたくさんしていますけど、サブカルも好きらしく「柊平くんを尊敬してるんです」って。それだけで、めっちゃいい子じゃんってなりました(笑)。年齢は5歳離れてますけど、すごくいい友達です。
――北村さんが上杉さんの自宅で過ごす様子や、キャンプに行った時の画像はSNSにも投稿されていますね。
僕はあまり俳優の友達がいないんですけど、こんなに密に連絡をとり合うのは匠海が初めてなんじゃないかな。一緒に朝まで音楽を聴いたり、お酒を飲んだり、サウナへ行ったり。
お互い影響し合ってることも多くて、僕は匠海からサウナの魅力を教えてもらったし、匠海は僕の影響で植物を買ったり、コーヒー豆を挽くようになりました。匠海と出会えたのは、2019年の大きな財産です。

――作品では見事なドラム演奏を披露していましたが、その裏側には苦労もあったとか…。
ヤバかったですね(苦笑)。一昨年の冬にオーディションがあって、そこで初めてドラムに触れました。はじめは2週間に1回ぐらいのペースで練習をしていましたが、その時点で、劇中で演奏する曲はまだできていなかったんです。
だから、のんびりやっていたら、スタッフさんに「結構ヤバいよ」と喝を入れられて。しかも、ドラムは他の楽器みたいに自宅で練習できるものではないじゃないですか。そこから必死で練習してなんとか間に合わせました。
俳優業とアーティスト業においてマインドに違いはない―どちらも発するのは自分の言葉ですから

法務省から“ミハン”チームへ派遣された北見役で出演している『絶対零度』は、まもなくクライマックスを迎える。北見がどんな目的で“ミハン”チームに近づいたのか、その真意が気になるところだが…。
――『絶対零度』はいよいよ佳境ですね。
5話のラストで北見が加賀美(柄本明)に銃を向けた姿に驚かれた人も多いんじゃないでしょうか。北見がなぜ“ミハン”チームに配属され、なぜ香坂さん(水野美紀)のそばにいるのか…。
謎が少しずつ明らかになってきているところですが、僕自身も結末を聞いていないので、今後、北見がどんな道を歩むのかとても楽しみです。

――劇中は緊迫感たっぷりですが、舞台裏について聞かせてください。
皆さん、自由で面白い方ばかりです。共演シーンの多い水野美紀さんはサバサバしたお姉さんで、役を離れた時はとてもチャーミングで素敵な女性。
今回、憧れの柄本明さんとご一緒できてることが何よりもうれしく、合間にちょこちょこお話させていただいています。
そして、作品を率いる沢村一樹さんは、いい意味で何を考えているのか分かりづらい方だなと思いました。そんなところがミステリアスで、井沢範人という役にすごくリンクしていると思います。

――上杉さんは俳優業と並行してアーティスト活動も行っていますが、そのバランスについてはどう考えていますか?
俳優として話している時も、アーティストとして話している時も発するのは僕の言葉だし、マインドに違いはありません。これがお芝居になると、それは僕自身ではなく作品の中の役柄としてなので、もちろん違いはありますけどね。
――どちらも長く続けていきたいものですか?
音楽は手放すかもしれないですね。ヒップホップという音楽を40歳、50歳になってもやっていたいと思わないし、やり続けることがカッコいいと今は思っていません。
そういう意味でいうと、俳優のほうがずっとやっていたい。その時の年齢に合った役柄があるし、作品だってもっと出てくるでしょうから。でも、もしいつか「やりたくない」と感じることがあったら、無理して続ける必要はないと思うんですよ。
職業において、先に見たい未来や夢があるなら、その過程でのツラさは必要だと思うんですけど、目標がない時にツラさを感じたのなら、辞めてもいいんじゃないかなって。でも、27歳の今は、俳優をやっていきたいと思っているし、この先もやっていくと思います。
いつか理想の一軒家を建てることが夢。ほしい家具があれば、自分でつくります

高校時代の3年間をオーストラリアで過ごした経験もあり、たいていのことは自分でできる、という上杉。料理も得意で、時にはスイーツをつくることもあるのだとか。意外性たっぷりの素顔について、さらに追求してみた。
――上杉さんにとって“眼福”な存在とは?
たくさんありますよ。まず、コーヒーが好きで、自分で豆を挽いて飲んでいます。あとは、植物かな。家の中に今は40ぐらいあります。

――では、最近、夢中になっていることは?
間取り図を見ることが好きです。もともと内装やインテリアが好きで、自分の理想の一軒家を建てることが夢なんです。しかも、1軒だけじゃなくて何軒も建てたい。
今、住んでいる部屋もこだわってるし、中古の一軒家の間取り図を見ては、「ここにあれを置いて、ここには…」とか妄想する時間がとても幸せ。だって、毎週録画して見ている番組が『渡辺篤史の建物探訪』(テレビ朝日系)ですからね。

――シブい番組をご覧になってるんですね(笑)。ちなみに、ご自宅はどのようなテイストなんですか?
壁は自分で塗ったもので、廊下も右側がボルドーで左側が水色。キッチンは全部オレンジ色で青いタイルを貼って、トルコやメキシコ、キューバ風っていうのかな。モロッコ的な色合いも好きなんですよ。棚も机も自分で作ったもので、欲しいものがあれば自分で作っちゃいます。

――驚くほど多趣味ですね!では、最後に、2020年の目標を聞かせてください。
これは毎年言ってることですが、何歳だからどうしようとか、2020年だからどうしようということはあまり意識してなくて。楽しい時に笑って、悲しい時に泣ける、子どものような大人でいたいと思っています。
「そんな自分でいたい」というのが毎年の目標であり、人生の目標。そこを忘れず、家族や仲間を大事に、健康に気を付けて、今ほしいと思うものを手に入れようと努力し続ける人でいたい。
先のことを考えても、僕の場合、あまりいいことがないので、その時の感情を優先して一歩ずつ進んでいきたいです。
撮影:河井彩美 撮影協力/ アイランド・ヴィンテージ・コーヒー 台場店