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2022年10月03日 |

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戸次重幸“神”と崇める益岡徹と二人芝居「羽毛布団のように受け止めてくれる」

めざましmedia編集部

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益岡徹さんと戸次重幸さんが、二人芝居への期待を寄せました。

現代イギリスを代表する劇作家、キャリル・チャーチル氏による戯曲「A・NUMBER」。クローン技術が進んだ近未来、亡くなった息子をとり戻そうと、医療機関に息子のクローンをつくり出してもらった父親と、やがて、自分がクローンだと知った息子。さらに、そのクローンが複数いることがわかり…。

現代社会が抱える問題と自らの真実と向き合わざるを得なくなった男の物語。父・ソルターを演じる益岡さんと、同じ風貌でありながら性格がまったく違う3人の息子に扮する戸次さんに、稽古の手応えや初の本格共演の感想を聞きました。

翻訳劇ならではの難解なセリフに苦戦中

――初めて台本を読んだときの印象と、稽古に入ってからうけた印象に違いはありましたか?

戸次:1回読んだだけでは、頭にスッと入ってこない難解なお話なので、理解を深めるための本読みの期間を設けていただいて、ようやく立ち稽古に入ることができました。立ってみて思うのは、内容がわかっていても、やっぱり難解だなと。

これは裏テーマといってもいいと思うのですが、“嘘をつくこと”がテーマになっている印象があって、「この段階では嘘をついている、この段階ではまだついていない」というお芝居のさじ加減がとても難しいんです。

益岡:初めてホンを読んだときは、クローンを扱った最先端の遺伝子科学の話なのだと、そちらにかなり引っ張られたのですが、立ち稽古に入ってみたら、思考回路などすべて同じだと考えがちだった3人の息子が、相手の出方によって態度を変えたり、はぐらかしたり、実はそうではないんだということがわかってきて。実は父親のほうも問題を抱えていることがどんどん詳(つまび)らかになっていくのですが、結局は家族の話なんですよね。

――台本の膨大なセリフ量に驚きましたが、そんなセリフと向き合ってみての感想を聞かせてください。

戸次:毎日、追われていますね(苦笑)。

益岡:決して1人では覚えられない台本なんですよ。相手が戸次さんじゃなかったら、どうなっていたんだろう。

戸次:分量的には益岡さんのほうが多いですよね。

益岡:いやぁ、そんなことないんじゃないですか。僕は「戸次さん、大変だな」と思いながら見ていますよ。

戸次:ただ覚えるのであればこれまでの蓄積でできるんでしょうけど、1行1行、セリフの意味を理解しないと頭に入らない。翻訳劇のセリフって特殊で、ざっくり言うと僕のセリフの間に益岡さんのセリフが刺さってくるという。その逆も然りで、非常に覚えにくいです。

益岡:自分が話している途中で相手のセリフが入ってくるから、次に何を言おうとしていたのかわからなくなります。想像するしかないんだけれど、その想像が間違っていたらもうそのシーンは成立しなくなってしまう。

――戸次さんはあるインタビューで「年齢を重ねるごとにセリフ覚えがよくなっている」と発言していましたが…。

戸次:撤回しようと思います(笑)。ちょっと自信がなくなってきました。昨日なんて、「もうダメだ!寝る!明日、覚える」って諦めましたからね。

戸次さんにはきちんと芝居を渡してくれる安心感がある(益岡)

――稽古の手応えを聞かせてください。

益岡:戸次さんには、きちんと(芝居を)渡してくれるという安心感があります。普段、僕はこういうことをあまり口に出さないんだけど、たいしたものだなと思います。

戸次:「身に余る」という表現以外、見つかりません。大変な稽古ではありますが、毎日とても贅沢な時間を過ごしています。益岡さんとお芝居できるだけでも幸せなのに、今、お芝居をつくる作業も一緒にできているんだなって。共に切磋琢磨し、同じ苦労をしていることがすごく楽しいです。

益岡:戸次さんとは映像の仕事で一緒になったことはありますが、舞台となるとまた違うんですよね。特にこの戯曲は背景の説明がほとんどなく、セリフしか書いてない。そこにいろいろなことを付け足すために(演出の)上村(聡史)さんが頭をしぼっていて、我々役者も頭がパンパンになっているのですが、僕も戸次さんと同じく幸せを感じています。

戸次重幸“神”と崇める益岡徹と二人芝居「羽毛布団のように受け止めてくれる」_bodies

――上村さんの演出からはどのような印象をうけましたか?

戸次:ものすごく端的にいうと、細かいですね。いろいろなタイプの演出家さんとお会いしましたが、おそらく一番の細かさ。というのは、上村さんのやりたいことが数学の答えのようにしっかりと見えていて、幾つかある中でベストの正解を決めたら、そこに向かってまっしぐらなんですよ。役者としては安心感をもってやらせていただいています。

益岡:僕は上村さんとの仕事は三度目になりますが、一度目から感じていたことは今、戸次さんがおっしゃったことに重なる部分がありますね。完成形に近いものをもっているけど、少しずつしか明かさない。そこに役者が「あぁ、そうか」と気がついて、正解にもっていくという方法です。

世代的にいえば若い演出家だけど、本読みもしっかりやりますしね。そのことが戯曲に対する役者の取り組み方を底上げしてくれるし、今回のようにト書きがない台本でも、背景や人物像がみえてくる。職人さんが少しずつ塗り重ねていくような作業をする方なので、安心して臨めています。

26年前に観た益岡さんの芝居に感銘!セリフも覚えています(戸次)

――戸次さんは舞台「巌流島」(1996年)での益岡さんのお芝居を観て、「神」と感じたそうですが…。

戸次:神なんてもんじゃないですよ。

益岡:かなり前ですよね?

戸次:演劇を始めたばかりの多感な時期でした。「君となら」とか「出口なし!」とか三谷幸喜さんの作品を観て…って、僕、ご本人の前でファンめいたことをあまり言いたくないのですが(苦笑)、「出口なし!」の益岡さんと宮本信子さんのかけ合いが面白すぎて、いまだにセリフを覚えています(と、再現)。

益岡:そんなことまで覚えてるんだ!

戸次:素晴らしかったです。

――26年の歳月が流れ、そのような存在の方とお芝居でセッションしているんですね。

戸次:光栄です。毎日、益岡さんが羽毛布団のようにフカ~ッとお芝居を受け止めてくださるので、その包容力に助けられています。たまに、すごい跳ね返し方をしてくる役者さんもいる中、益岡さんとはお芝居の基本である受け取っては返して、ということが何の抵抗もなくできるので本当にありがたいです。

益岡:こちらもいろいろ試してみたいものが出てきますから、そこをきちんと受け止めてくれることがうれしい。立ち稽古をしながら、戸次さんは「いい目をしているな」と感じています。目っていうのは嘘がつけないものだと思うんだけど、戸次さんの目が役者としての成り立ちみたいなものを実によく表しているんです。

――今回は親子という設定ですが、次回、共演するとしたらこんな間柄でこんな物語を演じてみたいという希望はありますか?

戸次:僕は益岡さんのコミカルなお芝居のファンなので、次はもうちょっとコミカルな作品で共演したいです。

益岡:年の離れた兄弟とか?それで、兄弟ゲンカをするっていう…。

戸次:同じ人を好きになってしまう…とかいいですね。面白そうです!

クローンにセリフを覚えてもらい、芝居をしている自分を見てみたい(益岡)

――毎日、稽古で多忙な日々を過ごしていると思いますが、ご自身の健康法があれば聞かせてください。

益岡:長年、仕事をして脳がパンパンになっていることを自覚しているので、さっきの戸次さんじゃないけど「もういいや!寝る」っていうケースが頻繁にあるんです。「今日、この時間にやっても、どうせ初日がきたらやるんだから」って手放しちゃう。健康法とは違うかもしれないけど、それが自分に平安をもたらしています。

戸次:自分に負荷をかけないことですね。僕は、少し前までオートファジーダイエット(24時間の中で16時間断食をする)をしていたので、時間を空けた後に摂る食事は水溶性食物繊維が豊富な野菜から食べて、徐々に血糖値を上げていくようにしています。あとは、緑茶とコーヒーを1:1で割った緑茶コーヒーを飲む。コーヒーには脂肪分解酵素が含まれていて、緑茶には食欲を抑える効果があると医師の方がテレビで話していたので、僕も実行しています。

戸次重幸“神”と崇める益岡徹と二人芝居「羽毛布団のように受け止めてくれる」_bodies

――もし、自分のクローンが存在しているとしたら、会ってみたいですか?

戸次:興味本位ですが、僕は会ってみたいです。そして、裸にして、ホクロの位置は同じなのかとか、身体的なチェックをしたいですね。

益岡:自分と顔が似ている人は世の中に何人かいるとよく言いますよね。僕も人から「似ている人がいる」と聞いて実際にお会いしたのですが、確かに似ていたんです。自分と似ているものに惹きつけられる好奇心みたいなものが自分にあったことにちょっと驚きましたね。

――クローンとやってみたいことはありますか?

益岡:同じセリフを覚えてもらって、芝居をしているところを観るっていうのは面白いかもしれない。

戸次:いいですね、それ!僕ものりました。我々って、自分が芝居をしているところを映像では観ますけど、生では観られないですからね。ぜひ観てみたいです。

父になったことが転機に。これからの人生は滅私奉公(戸次)

――終盤、益岡さん演じるソルターに「自分の人生、好きって言えるのか?」というセリフがありますが、同じ問いかけをさせてください。

益岡:僕もそろそろいい年齢で、自分が生きてきた道や「生きること」について考えざるを得ない世代なのですが、自分が何かを求められ、誰かが僕を必要としてくれているというのは、年齢を重ねるごとに感じています。

芝居の稽古ってセリフを覚えるなど、学生時代でいう試験勉強みたいなところがあって、大変だし、「初日はどうなるのだろうか」という不安が必ずついてまわるんだけど、それも含めて、生きているからできるのだと。

まだあと何年かは生きる予定ですが、同年代がバタバタと亡くなっているので、「もうすぐ人生は閉じられる」ということを身近な概念として意識し始めています。大変なことも含めて、生きているからこその喜びなのでしょうね。

戸次:「自分の人生が好きか?」と聞かれたら、もちろんやり直したい過去はたくさんありますが、かつての過ちや失敗が今につながっているのだと思ったら、全肯定してあげたくなるんです。だって、自分の人生ですから。

僕の人生においては子どもが生まれたことが大きな転機で、自分の人生やこれからの人生はもうどうでもいいくらいで。僕は子どもをきちんと成人させるためのマシーンだと思っていて、ここからの人生は滅私奉公ですよ。好きも嫌いもないっていうのが正直な答えでしょうね。

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――難解でありながら、とても奥深いこの物語をどうアピールしたいですか?

戸次:僕は普段、ジョギングをしていて、ジョギングって疲れますが、ツラいものではない。これと似たものを、「A・NUMBER」では感じていただけるのではないかと思います。

理解することに頭を使う作品ですが、カタルシスを感じていただける結末になっていますので、“ズンッ”とした疲労感をぜひ持ち帰っていただきたいです。

益岡:一つ、二つの言葉がわからないまま先へ進むかもしれませんが、終始2人だけのシーンで推移しますから、その中に「さっきと何が変わったんだ、何が違うんだ」というものを発見する面白さがあると、僕は感じています。

――公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。

戸次:お客様にとっても集中力が必要な作品ですが、約1時間ですので集中して観ていただきたいですね。そうすると、多分2回目が観たくなります。勉強って、1回習っただけで頭に入るのであれば、みんな東大に入れると思うんですが(笑)、何回も反復して頭に入れるから学力は身につくわけで、この作品はそれに似た感覚があると思うんです。観劇後の心地いい疲労感をぜひ楽しんでいただきたいです。

益岡:簡潔なのに難解。だけど、観終わった後には何ともいえない人間の業みたいなものが、実は違うところにあるかもしれないと感じられる作品になっていると思いますので、ぜひご覧いただければと思います。

「A・NUMBER」

10月7日(金)~16日(日)紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

*名古屋、仙台、札幌、兵庫公演あり。

公式サイト:https://anumber2022.srptokyo.com/

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