テロの首謀者は本当に香坂なのか!?無実を信じるミハンチームを襲う悲劇…
3月2日(月)放送
『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』第9話完全版
東京サミットを狙った爆弾テロの可能性が浮上する中、香坂(水野美紀)が突然姿を消した。井沢(沢村一樹)は、香坂のタブレットに、テロに関するデータが残されていることを知る。
だが、山内(横山裕)や小田切(本田翼)らは、ミハンの法制化を願っていた香坂がテロに関わっていることなど信じられるはずもなかった。

井沢は、香坂の過去――26年前に映画館で神経ガスを撒いて多くの死傷者を出した男が香坂の父親であること、その事件の数年前に両親が離婚しており、香坂は法務省の官僚と再婚した母親に引き取られたことを山内たちに打ち明ける。
実は香坂には弟がいたが、父親の凶行に巻き込まれていた。その際、香坂の弟は奇跡的に一命をとりとめたものの、世間からの激しいバッシングに絶望し自殺していた。弟への贖罪と、殺人者の娘という十字架を背負って生きてきた香坂がテロを起こすはずがないと確信する山内たち。
そのとき加賀美(柄本明)は、香坂がミハンで何かを調べていた形跡を見つける。そこには、海外の紛争地帯を渡り歩いてきた元傭兵の里谷隆一(高岩成二)らテロ実行部隊と思われる男たちの情報があった。

一方、警視庁には、副総監の指揮の下、緊急特別捜査本部が設置される。捜査員たちは、テロリストの潜伏先候補を徹底的に調べていた。
そんな中、井沢は、里谷が公安のトップしかその存在を知らない「マルトク」と呼ばれる協力者であったことを掴み、曽根崎(浜田学)のもとへと向かう。
同じころ、香坂は、テロリストの潜伏先候補地として捜査線上にもあがっていた河川敷を訪れていた。そこで香坂は、テロ実行部隊のふたりを倒して拘束し、パソコンの情報をUSBメモリに移す。そのとき、実行部隊が連絡用に使っていた無線機に何者かから連絡が入る。

井沢は、特別捜査本部にいる曽根崎に、里谷の情報を突きつける。「あなたもテロに関与している」。井沢からそう指摘され、思わず彼の胸倉をつかむ曽根崎。そのとき、河川敷に到着した山内から連絡が入る。山内と小田切の前には、香坂によって拘束された実行部隊ふたりが転がっていた。するとそこに、里谷が現れた。里谷は、圧倒的な強さで山内と小田切を倒すと、仲間ひとりの拘束を解いて逃亡した。
そんな中、香坂が河川敷から持ち出したUSBメモリが駅のロッカーから発見される。そこに記録されていたのは、爆弾の設置場所だった。香坂は、大規模なテロを計画し、それを未然に防ぐことでミハンの必要性を認めさせようとしていた。
そのために、ミハンが法制化されれば一気に組織を上り詰めることができる曽根崎と手を組んだのだ。だが、そのテロ計画が何者かによって奪われてしまい、香坂は自らテロを止めようとしていた。黒幕は、すでに逮捕されている北見(上杉柊平)の背後にいる人物だと思われた。井沢は、山内たちに爆発物解除のバックアップを指示すると、香坂の行方を追った。

山内、小田切は、それぞれ爆弾の設置ポイントに到着し、SATや爆弾処理班とともに解除作業を開始する。そのようすをモニターしていたクラッカーの諏訪(松尾諭)は、パソコンで爆弾を起動させた。だが、諏訪がネットワークを使った遠隔操作で爆弾を起動させると予測していた加賀美は、通信を遮断してそれを防ぐ。すると諏訪は、自ら加賀美に接触し、爆弾がもうひとつあることを告げ……。
井沢は、香坂が最後の爆弾を止めに向かったと確信し、彼女を追った。吉岡(森永悠希)は、捜査本部に爆発物の件を伝えた。だが、そこに割って入った曽根崎は、北見の自供によって香坂がテロの首謀者であることが判明したと捜査員たちに伝える。
さらに曽根崎は、香坂が映画館で事件を起こした犯人の娘であることも明かし、彼女が統括していたミハンからの報告を鵜呑みにするなと命じる。実は曽根崎は、北見から、「あの人は邪魔者は許さない。香坂朱里は殺される」と告げられていた。そこで曽根崎は、香坂にすべての責任をなすりつけようとしたのだ。


そのころ香坂は、封鎖された地下道を利用し、最後の爆弾が仕掛けられた場所へと向かっていた。先回りして香坂を待ち受けていた井沢は、真犯人が自殺したはずの香坂の弟であることに言及し、ひとりで抱え込まないでほしいと告げた。
井沢に銃を突きつけていた香坂は、ふいに彼の胸倉をつかんだかと思うといきなりキスをした。「あなたに出会わなければ良かった」。香坂は、そうつぶやくと、一瞬の隙をついて井沢の腹部に打撃を入れて倒し、その場から姿を消してしまう。

加賀美は、クラッカーがセキュリティに侵入した痕跡を追って爆発物の設置場所を特定する。それは、東京貿易センターだった。犯人の狙いは、地下の下水道にある可燃ガスを利用してビルを倒壊させることだった。知らせを受けた山内と小田切は東京貿易センターへと急行した。
香坂の後を追ってきた井沢は、捜索中に銃声を耳にする。銃声がした部屋へと向かった井沢が目にしたのは、血まみれで倒れている香坂の姿だった。井沢は、必死で香坂に呼びかけた。香坂は、井沢の頬に手を伸ばし、何かを言おうとするが、そのまま息を引き取る。深い悲しみと怒りで叫び声をあげる井沢。

ほどなく、小田切とSATチームが井沢のもとへとやってくる。SATは、拳銃を手に佇む井沢に投降を命じた。井沢は、拳銃を捨てるが、拘束されそうになった次の瞬間、隊員たちをなぎ倒して部屋を出ていってしまう。
それからしばらくして、山内も現場に到着した。香坂の遺体の前で動けずにいた小田切は、井沢を止めてほしいと山内に頼んだ。
最後の爆発物が無事処理された。曽根崎は、井沢を見つけ次第殺すよう指示し……。