吉田羊「気づけば2日がかりで飲んでいたことも」新宿二丁目の思い出
3月19日(日)14時~『ザ・ノンフィクション』(※関東ローカル)
りっちゃんに「生意気だね」なんて言われたい(笑)
<吉田羊 インタビュー>

――りっちゃん夫婦が営む「クイン」のある、新宿二丁目に行ったことはありますか?
実は、新宿二丁目に通い詰めたお店がありました。そこには、ゲイのママさんがいて、りっちゃんと同じように話を聞いて寄り添ってくれたり、ときには突き放したり、怒ったりしてくださって。
それが、私を思ってこそという愛情を感じるから、怒られてもまた翌週には足を運んでしまうというお店で、「懐かしいなぁ」と思い出しました。
当時、夜な夜な劇団の相方と飲み歩いていたんです。新宿界隈で飲み歩いて、最終的に行きつくのが二丁目という。朝5時までの営業なのに、いる限り営業してくださるので、気づけば2日がかりで飲んでいる、なんて日も少なくなくて(笑)。
最近行けていないので、これを機会に訪ねてみたいです。そして、「クイン」にも寄って、朝7時の朝ご飯を食べたいと思いました。
「クイン」のご飯はどれもおいしそうでしたが、特に(ベーコンと卵で作る看板メニュー)「カイブツ」を食べてみたい。あとは、キンメダイの煮つけも。あれは、スペシャルなメニューだから、オーダーできないかもしれないですけど、りっちゃんに「生意気だね」なんて言われたいです(笑)。
――新宿二丁目は、どんな街だと思いますか?
どこか脛(すね)に傷を持った人が集まり、同じ傷を持つ人をかぎ分ける力を持った街。そして、その力がほかの街よりも強い、というイメージがあります。
そういうパワーがあるから吸い寄せられてしまうし、逞(たくま)しく生き抜く先輩たちを前に、生意気な態度で訪れると、ピシャッとやられてしまうこともあるんじゃないかな、と思います。
そんな街で、清濁併せ吞む人々を50年以上見てきたりっちゃんは、本当に聞き上手で、“聞かない上手”でもあるなって。詮索されずにただなんでもない話をしたいとか、一緒にご飯を食べたいってとき、ありますよね。
そういう繊細な心の機微を感じ取るのって、経験値もさることながら、相手と本気で向き合わなければできないことだと思うんです。
一方、加地さんが、定食の値段を50円上げるのにも、みんなお金がないから「かわいそう」とおっしゃっているのを見て、昔、ある方に、「世の中には人のために生きる人と自分のために生きる人の2種類しかいない」と言われたのを思い出し、このご夫婦はまさに前者だな、と。
50年も値上げしていないのだから、550円どころか600円でもいいですよ、と言いたくなりますが、「損得よりも人の幸せ」という加地さんと、それを尊重するりっちゃんは、きっとまわりまわってご自身も幸せに違いないと感じました。
――今回、前後編でしたが、収録時間は“最速記録”というほどスムーズでした。心がけたことはありますか?
今回、自分の懐かしい街というのもあって、思わず感情が入りそうになるところもあったので、なるべく客観的に、視聴者のみなさんの感情を邪魔しないように読もうとは意識しました。
それでも無意識に感情が乗ってしまう部分もありましたが、そこは、映像とナレーション一体のグルーブ感として伝わっていたらいいな、と思います。

――視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
新宿二丁目の名物ご夫婦のお客さんへの深い愛情と夫婦愛。そのふたりに触れて心が救われていくお客さんを見ながら、いつしか自分の心もふっと軽くなるような本当にあたたかい回だと思います。前後編でじっくりとご覧になってください。
<ナレーションの一部を先取り紹介>
<予告動画>
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