齊藤工監督 映画「スイート・マイホーム」yamaの主題歌を絶賛「物語をキレイに閉じてくださった」
齊藤工「小さい命に起こる残酷な出来事をどう描くか」
<齊藤工監督、yama インタビュー>

──齊藤監督は、あまりホラーが得意ではないそうですが、本作を通して、ホラー作品の魅力は感じましたか?
yama:ホラーお嫌いなんですか?
齊藤:そうなんです。でも、ホラー作品って…映画祭の上映に立ち会ったときに感じたのですが、叫んだり、顔を伏せたりしながら見るという“映画館アトラクション”的な部分が人気なのかな、と。観客のリアクションを受けたことで、その魅力は体感出来ました。
──yamaさんは、ホラー映画は好きですか?
yama:得意ではないです…。だから、ちょっとドキドキしながら本作も拝見して。
齊藤:すみません(笑)。
yama:じわじわと追い詰められるような、ずっと冷や汗かいてるっていうような、手に汗握るような状態で見ていて、最後まで気が抜けない映画で。でも、すごく引き込まれました。
──映画の制作が発表された際に「原作は、安易に実写化してはいけない人間の究極のタブーが詰まった作品」とコメントしていました。そのような作品の監督をするうえで、特に意識したことはありますか?
齊藤:原作を拝読したときから、この作品は継承、伝承、女性性、母性にまつわる物語だなと思っていました。映画には、原作にない描写として、女の子が片目で伏し目がちに状況を見つめているシーンを入れているのですが、母性の奥にある“伝承していく何か”を表現しています。その描写は台本を作るタイミングで入れたいと話し、こだわった部分です。

それに加えて、原作で何が一番タブーかと言ったら…今作は幼い娘2人を育てる夫婦がマイホームを購入したことから始まるのですが、家族がさまざまな恐怖の連鎖に巻き込まれていきます。そのなかで、小さい命に対して起こる出来事の残酷さがタブーではないか、と。
原作のゴール地点が残酷な描写だったので、撮影をしながらもどうするかを考えていました。ただ、マイルドに描いてしまうと実写化する意味がなくなってしまうなと思っていて。ネタバレもあるので、表現が難しいのですが、どう描くかということは考えて映像にしています。
──yamaさんは、主題歌「返光(Movie Edition)」を歌う際に意識したことはありますか?
yama:自分の作品ではありますが、「スイート・マイホーム」という映画の世界観にも寄り添いたいと思っていて。ですので、作品を見たうえで、自分の色と映画の色をどうかけ合わせられるか、その中間ポイントを意識して表現しています。迎合しすぎず、ちゃんと自分の作品にしながら、作品のことを考えるというバランスですね。
あとは、楽曲の全体的な雰囲気は温かくて、メロディも含めて懐かしさを感じるような、親しみやすい曲に聞こえると思います。そこに映画のエッセンスを入れるとしたら、「優しく歌うだけじゃないのかも」と思いました。
ですので、感情の波を変化させたり、ちょっと不安定な心情が出るように歌っていたり。よくよく聞くと「おや?」と思うような、違和感みたいなものを詰めています。
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